白岳しろのnote戦略を一挙公開!小さな地方企業が記事を読んでもらうために狙ったターゲットと“面白い記事”を生み出すレシピとは
先日、こんなイベントに登壇してきました。
白岳しろnoteを立ち上げた当社常務と私が、noteをスタートしたきっかけや取り組みの工夫についてお話したセミナーです。
ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
さて、この記事ではセミナーでお話した運用のポイントではなく、当社のnote戦略について書いていきます。
というのも、セミナーに向けて当時を振り返った時。noteを始めたばかりの自分にこんな決意があったことを思い出したからです。
noteはあくまで表現の場。本来そこに勝ち負けなどありません。
ただ、白岳しろについて書く以上は他の会社に負けないような良い記事を届けたい。そして全国の人に読んでもらえるコンテンツへと育てたい。負けず嫌いな私は、当時そんな風に燃えていました。
一方で、小さな地方企業の記事が全国から注目されるためには確固たる戦略が必要とも感じていたんです。
戦略ー
それは勝つための道筋であり、一つひとつの打ち手がどのように目的へと結び付くのかというデザインでもあります。
白岳しろnoteは淡々と投稿を続けていたようで、実はターゲットや記事にも様々な狙いを潜ませながら運営をしてきました。
地元では知られていても全国的には知名度が高いとはいえない地方企業が、どのように愛される記事やメディアを創っていくのか。
当社なりに考えて実践してきた戦略について、今回は包み隠さずお伝えしていきます。
noteという媒体を分析する
戦略を錬る上で大切なのは、まず自分の戦う場所がどんな構造をしているのか知ること。
執筆前にnoteについて調べてみると、こんな事がわかりました。
こうした情報を統合すると、一つの結論が浮かび上がります。
それはnoteが知名度や資本力、個人/法人の枠組みに関わらず、純粋にいい記事がしのぎを削りあう場を作りたがっているということ。
そして、いい記事をnoteに溢れさせることでユーザーを起点にプラットフォームの価値を向上させようとしているメディアなんだと確信しました。
この世界で求められるのは、純粋な創作だけ。みんな同じスタートラインから出発させてもらえるんです。
こうした特性は、当社のような小さな企業にとってプラスに働きます。純粋に記事のクオリティだけで勝負できるので、経営資源の大小に関係なくその努力が報われやすい構造だからです。
自社にとって前向きな感触を得た私は、次に肝心な「面白い記事」をつくるステップへと移っていきます。
誰にとっての“面白い記事”?
とはいえ、いきなり記事を作ったわけではありません。まずはターゲットを見据えるために、2つの軸で読者を分類してみました。
米焼酎への興味とnote利用の有無で切り出したマトリクスがこちら。
この図を見て、大まかに3つのターゲットへ分類できると感じました。
そして、この3つのターゲットを当社へのロイヤリティと潜在人数で並べ替えると、おおよそこんな形になります。
こうして読者を想定した私は、ターゲットによって異なる「面白さ」を記事で表現いくことにしました。
三種の読者たちに贈るラブレター
ここからは各ターゲットに対して、当社がどんな記事を展開してきたのかを書きます。
ターゲットA/米焼酎ファン
noteの利用に関わらず、米焼酎ファンの方々には焼酎の造りや歴史についての記事を積極的に展開しました。
その中でも意識したのが、情報の体系化。
事前に色々なページを見た結果。米焼酎について専門用語ばかりのサイトや逆に内容がライト過ぎる記事が多く、ここを繋ぐことに需要があると感じました。
米焼酎好きでも、細かな知識を収集して整理するのは至難の業。そうしたファンにこれさえ読めばOKという記事を用意して信頼性を獲得する狙いです。
歴史・地理系の記事
米焼酎の造りに関する記事
大切なのは「米焼酎がわかった」と読者に感じていただき、白岳しろnoteが米焼酎の水先案内人へと成長していくこと。
また、これから米焼酎を知ろうとする人が色々なサイトを渡り歩いた末に辿り着ける優しい記事づくりを目指し、米焼酎のエントリーユーザーを全てここに集めたいという狙いもありました。
ターゲットB/noteユーザー
noteユーザーの方々には、振り返り記事や書き手視点の記事を通じて書くというテーマにフォーカスして記事を届けています。
米焼酎は知らない方でも、記事の書き方や広報の働き方には興味があるはず。そこから米焼酎へとつながる道があると信じて、このカテゴリーに着手しました。
振り返りやノウハウ系記事
広報としての内省
ちなみに、このカテゴリーではnotepro運営のみなさんも意識しています。
noteproのミッションは参画企業に楽しく創作を続けてもらうこと。であれば、運営側としてもこの種の記事はみんなに広めたいのではないか。
そう考えて、ここを充実させれば「運営側に注目されて、拡散してもらえるかも…」というちょっとした打算があったのも事実です。
※先生のウケを狙って作文を書くようで恐縮です…。
そして、上記の2記事は実際に見事noteproのマガジン入りを果たし、多くのユーザーに読んでいただけました。
こうした記事は法人noteだからこそ積極的に狙えるカテゴリーだと確信しているので、今後もどんどん投稿していくつもりです。
ターゲットC/ビジター
米焼酎にも興味がなくてnoteも使っていないCのビジター。母集団も圧倒的に多いので、ここを取り逃すわけにはいきません。
ここには米焼酎以外のテーマで記事を組み立てることを心がけました。グルメ、エンタメ、旅行、スポーツ…。世の中にあるお酒以外の楽しいことをフックに、その分野に興味がある人を記事に引き込む作戦です。
現代の最先端 eスポーツから
1000年以上の歴史を有する俳句まで
多種多様なジャンルを、食わず嫌いすることなく取り上げてきました。
そして、こうした記事では取材相手の起源や今に至るまでのストーリーを、出来るだけ網羅的に書くことを意識しています。
そうすることで相手にとって記事が名刺となり、自分たちを紹介する際に記事を同時に紹介して頂けるようになるからです。
また多くのジャンルを取り上げることで米焼酎やしろという検索ワード以外でもヒットする可能性が高まり、SEOが強いサイトになるのではという目論見もありました。
このカテゴリーで取材したのは、個人的にこれから大活躍すると信じている方々ばかり。今後の飛躍を通じて、名刺代わりの記事が改めて掘り返される日を楽しみにしています。
「つくって、届ける」戦略の遂行
こうして、ターゲットと記事の方向性が決まりました。
ただ、戦略でいちばん大事なのは遂行。ここからは戦略を機能させるにあたって、当社が留意した3つのポイントを紹介しましょう。
①読者の目線に記事を合わせる
例えば米焼酎造りを日々頑張る新人のインタビュー記事を読むとして、どちらのタイトルが読みたくなりますか?
私だったら確実に②を読みます。自分にとって身近に感じるからです。
①は麹とか酵母とか入ってきた時点で少しとっつきにくい。一方②は涙を流した新人時代を思い出し、ついクリックするでしょう。
商品や事業について知ってほしいと思うと、つい専門的な話が多くなるもの。ただ、読者は自社について知らない人ばかりです。
だからこそ、誰しもが感じる普遍的な感情や想いを盛り込むことで、多くの人にとって馴染みやすい記事にすることを意識しました。
こちらは、実際に当社の新人社員を取り上げた記事です。
この記事では米焼酎造り以上に、新人社員が抱えがちな迷いやそれを乗り越えるプロセスを表現しました。米焼酎を知らない人でも、新人が奮闘する姿であればきっと興味を持ってくれると考えたからです。
逆にこの目線がずれるとせっかくのいい記事も読んでもらえなくなるので、読者と記事の方向性をすり合わせることはかなり重要になります。
②配信の導線を設計する
そして記事を読者に届けるための導線をしっかりと設定することも、法人noteにとっては大事なポイントです。
当社の記事発信のスキームは下記の通り。
自社HP・ECサイト会員様へのDM、各種SNS、社内のチャットツール
自社がお客様や社員とつながっている媒体を整理して、全ての媒体で記事を広報します。初めは反応も鈍かったのですが、毎週同じ時間に発信したことでジワジワと反応をいただけるようになりました。
また昨年末からはじめたのが、いろいろな企業様とのコラボキャンペーンを通じたTwitterのフォロワー拡大施策です。
Cのビジターは、工夫次第で数を増やすことが出来るターゲット。当社ではここを獲得していくために、メインの流入先であるTwitter母集団の拡大に取り組み始めました。
結果、2022年末に1万人前後だったフォロワーは現在3万人へと増大。今年中には、5万人のフォロワーに到達するつもりです。
ビジターを集客して、記事を読んでもらった上で白岳しろnoteファンになっていただく。この導線サイクルを今後も強化して、noteの顧客基盤をより骨太にしていきます。
③日々振り返りながら、走る
戦略を遂行するだけでは意味がありません。その時々で結果を振り返りながら、日々改善を重ねていく必要があります。
特にnoteproはアナリティクスβという強力な分析ツールがあるので、当社ではこの機能を振り返りに活用しました。
この中で、当社が見ているのはPVと参照元とスキ率です。各々下記のような観点を計る指標として見ています。
まず見るのが、PVです。
よく面白い記事だったのでPVが伸びたという表現を見ますが、PVはあくまで記事のクリック数。正確には読者が記事を「面白そう!」と感じた数字だと認識しています。
逆に言うと、だからこそテーマ・サムネイル・タイトルはとても重要で、PVの源泉となるからです。PVが想定したよりも少なかった時は、この3つに不備がなかったかを確認して改善するように心掛けています。
また、流入元を分析することによって、狙ったターゲットと実際に読んでくれた読者にズレがないかを確認するようにしました。
当社ファンの流入が多い場合はFacebook、ビジターが多い場合はTwitterが伸びる傾向があります。各社ターゲットと流入媒体は異なるので、是非チェックしてみてください。
最後にスキ率で記事の相対的な満足度を確認します。スキ数でないのは、PVが低かった場合面白くてもその数は少なくなるからです。
ここが低かった場合は、ストーリーの論理展開や文章の長さに問題がなかったのかを一から読み直してチェックします。読者は正直で、面白いと思ったら必ずスキをつけてくれます。逆もしかりです。
これがPVとスキ率の関係を図で表したもの。各課題に対してとれる打ち手も変化してくるので、ぜひ参考にしてみてください。
ゆっくりと進む戦略のかたち
ここまで白岳しろnoteの戦略について書いてきましたが、いかがしたか?
ターゲット・コンテンツ・遂行と戦略にまつわるテーマを書いてきましたが、最後は当社noteのコンセプトをお伝えして終わります。
時間とともに進化するプラットフォームへ
これは当社noteを作る上で一番大事にしているキーワードで、noteという媒体の特性を意識したコンセプトでもあります。
noteは他のSNSと違って記事が日々積み上がっていくことで、そのコンテンツがストック(資産)になるという特長があります。だとすれば、そこには記事が積み上がるまでの「時間」が存在するはずです。
この時間の中で、各記事がプラットフォームの価値を高める方向にどう作用するかをデザインすること。これが当社戦略の要諦です。
再掲すると、当社noteのポイントは下記のようになります。
こうした要素が時間を経るたびにお互いを強化し、やがて白岳しろnoteが大きく注目されるような循環を時間をかけて作ることができれば当社としては理想だと考えています。
あせらず、ゆっくり、しっかりと。
日々小さな一歩を地道に積み重ねていくことが、noteを作っていく上で一番大事な心構えなのかもしませんね。
さて、本日は当社noteの戦略について書いてまいりました。
6000字に近い文字数になり恐縮ですが、この記事のターゲットはBのnoteユーザーなのできっと最後まで読んでくれたと信じてます!
※noteに慣れていないターゲットへの長文は注意が必要です
今後も自社のノウハウはどんどん開放していきますので、ぜひこれからも白岳しろnoteの応援よろしくお願いします!