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「本格米焼酎」がわかる基礎知識まとめ

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本格米焼酎や球磨焼酎の歴史や造り、魅力について初心者でもわかりやすく説明した記事をまとめました。
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記事一覧

米焼酎はどこから来て、一体どこへ行くのか?蒸留酒が日本に上陸した足跡を追いながら、世界へ飛び出すための糸口を探っていく

みなさんは、この絵画を目にしたことがありますか? ポスト印象派の巨匠 ポール・ゴーギャンの最高傑作として知られる「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」。 絵の右から左に向かって人間が誕生して老いるまでの時間の流れが描かれ、私たち人類のルーツや未来への変遷が象徴的に表現されています。 今回はそんな不朽の名作に倣って、我々の造る米焼酎とは一体何者であり、これからどこへ向かうのかを改めて考えてみることにしました。 具体的には、蒸留酒が生まれた背景や日

お酒は紙パック派?それともボトル派?同じ商品でも容器やサイズの違いでマーケティングがどんな風に変化するのかを書いてみた

お酒を飲む時は紙パック派ですか、それともボトル(瓶)派ですか? 私の場合、若い頃はよくボトルのお酒を買っていましたが、年齢を重ねるごとに紙パックでの晩酌が圧倒的に多くなってきました。 こんな風に飲む人や販売地域によって手に取られる商品が違ってくるのも、お酒をマーケティングする上での面白いポイント。 また容器だけでなく、アルコール度数・サイズ・外箱の違い一つで、同じお酒でも飲まれるシーンが明確に変わってくるんです。 これまで私たちはそんなお客様からの期待に応えるべく、時

「焼酎ブーム」って一体なんだったの?日本中に焼酎が広がったムーブメントの舞台裏と白岳が急成長した軌跡を“本格焼酎&泡盛の日”に眺めていく

本日11月1日は、年に一度の「本格焼酎&泡盛の日」。 白岳しろが誕生した1980年代に制定された記念日で、九州の地酒という立ち位置だった焼酎が日本全国に広がっていく一つの原動力となりました。 さて、そんな記念すべき日に取り上げるテーマが焼酎ブームです。 一般的にはあまり知られていませんが、焼酎はこれまで3度にわたる大きなブームを経験しました。1970年代から2000年代にかけて、焼酎業界全体が時代の追い風を受けながら成長を続けた一大ムーブメントです。 もちろん当社も例

“お酒の名前”にはストーリーが詰まっている!?自社の銘柄がどんな想いで名付けられたのか掘り下げてみると、意外と深くて面白かった

自社にとっては当たり前だけど、社外の人にとっては面白い。 そんな物語を発信してみたいと身の回りを探していた時に、ふとアリじゃないかと思ったのが自社で造る「お酒の名前」でした。 “お酒の名前なんてどれも似たり寄ったりでしょ”と思うかもしれませんが、そのルーツを丁寧に紐解くとこれが結構奥深い。 実際、中途入社してから自社銘柄に付けられた名前の由来を知るようになって、いつも飲んでいる米焼酎がより一層美味しく感じるようになりました。飲むのと同じくらい語りたいんですよね、お酒好き

日本全国のお酒を楽しめる穴場スポット「日本の酒情報館」を初取材!國酒の伝道師に本格米焼酎のこれからについて聞いてみた

みなさんは「國酒(こくしゅ)」という言葉をご存知ですか? 白岳しろをはじめとする本格焼酎はもちろん、日本酒・泡盛・本みりんといった日本を代表するお酒の総称で、この国の長い歴史の中で紡ぎ続けられてきた壮大な文化の一つでもあります。 そして、2016年この國酒の魅力を国内外にPRする目的で作られた発信基地が東京・西新橋にひっそりと佇む「日本の酒情報館」です。 全国約1700の酒類メーカーが所属する日本酒造組合中央会が運営するこの施設。館内には日本中の蔵元が造る100種類近く

本格米焼酎の味を決める“造りの方程式”を徹底解剖!米・麹・酵母という3つの変数から、美味しいお酒の設計図を紐解いていく

一口に米焼酎と言っても、実に色々なタイプがあります。 さっぱりとしておだやかな味わい、フルーティーで華やかな香り、焼酎らしい芳醇な呑み口、そして一風変わった個性派まで。 風味と香りの組み合わせ方によって、同じ種類のお酒とは思えないほど多様な表情を見せるのも米焼酎ならではの魅力。 こうしたタイプ別の特徴については、以前noteでも取り上げました。 そして、今回は逆方向からのアプローチです。 本格米焼酎の造り手たちは一体どのような方程式を駆使して、同じ原料からタイプの全

美味しい梅酒をつくるコツを焼酎造りのプロが徹底解説!朝から社員一同で自社梅園の梅を狩って、午後には梅酒を漬け始める酒蔵ならではのイベントがあまりに楽しすぎた

6月は、ある雨の日のこと。 梅雨が運んでくる煩わしい湿気とnoteのネタが浮かばないイライラで不快指数が最高潮に達しようとしていたその時、1本の電話が掛かってきました。 電話の相手「こんど梅狩りをするんですけど、手伝いに来てみませんか?そのあとに梅酒も漬けますよ。どうせ、noteのネタに困っとっとでしょ?」 まるでこちらの懐事情を見透かしたような、挑発的かつ魅惑的なお誘い…。 当然ながらこの誘いを断れるほどnoteのネタが潤沢にあるわけもなく、今回は満を持して年に1度

なぜ熊本では「米焼酎」が飲まれるようになったのか?その秘密を人吉球磨の地理と歴史の両面から紐解いてみる

いまさらですが、熊本で焼酎といえばもちろん米焼酎です。 下のグラフは国税庁の資料をもとに作ったもので、九州各県の焼酎売上実績を原料別にまとめました。※注意※消費量ではありません このデータを見ると、全国的に焼酎の生産量が多い九州の中でも、熊本がいかに突出して米焼酎を造っているのかよくわかりますね。 さて…ここからが今日の本題です。 同じ九州という土地で焼酎を造っているにもかかわらず、なぜ熊本だけこんなにも米焼酎の割合が大きいのでしょうか。 熊本が誇る米焼酎のほとんど

「いい米、いい水、いい人で」。白岳の本格米焼酎に込められた造り手のこだわりを探すべく、人吉球磨の蒸留所を訪ねた/and SHIRO#3

日本が誇る上質の魅力を再発見するWEBマガジン「and  SHIRO」。 第3回は白岳しろを造る人吉球磨の蒸留所に足を踏み入れ、そこに息づく職人たちの姿や上質の本格米焼酎が生みだされる瞬間に触れていきます。 「いい米、いい水、いい人で」120年以上本格米焼酎を造り続けてきた蔵元として、大切にしてきたこだわりがあります。それが「いい米、いい水、いい人で」という造りの哲学。 いい素材をつかって、いい人が仕込んでいく 本格米焼酎は米と水というシンプルな原料で造られるからこそ

120年を超える歴史の中で、白岳が貫いてきた「文化創造型」の酒づくり。それは商品や市場の先にある飲み手の笑顔に少しだけ先回りする未来づくり

本日は、来たる11月2日。 世間的には何の変哲もない日付かもしれませんが、本格米焼酎を造る当社にとっては大切な記念日に囲まれた一日です。 まず一つ目の記念日が、昨日11月1日の「本格焼酎・泡盛の日」 1987年に日本酒造組合中央会が制定した本格焼酎と泡盛を広くアピールするための記念日で、今年は日本経済新聞朝刊 別刷第二部の特集に漫画家 ウオズミアミさん描き下ろしのイラスト広告を掲載させていただきました。 そして、もう1つの大切な記念日が明日11月3日の「文化の日」です

自分に合う銘柄がわかる「白岳の地図」ついに完成!“風味”と“香り”のマトリクスを歩きながら、あなただけの1杯を探し当てていただきたい

現在、白岳の本格米焼酎は全部で12銘柄。 造りによる個性の違いを楽しんでいただきたく様々なアイテムを展開している一方で、お客様にとってラベル情報だけで味をイメージするのは少し難しいのかもしれないという課題感も持っていました。 今回、そんな現状を踏まえて作りたいと思ったのが「白岳の地図」。 “風味”と“香り”という本格米焼酎の2大要素を軸にしたマトリクスを通じて、初めて白岳に触れるお客様でも自分にピッタリな1本と巡り合えるロードマップを目指してみました。 具体的には、風

いつもお家で飲んでいるお酒のラインナップに「本格米焼酎」を加えてあげる事で、家飲みのバリエーションや楽しさが段違いにパワーアップする理由をここらでしっかりと語らせてほしい

「早く…。早く帰って、白岳しろのハイボールが飲みたい…」 これは、週1回必ずnoteを書くという終わりなき旅に追われ、頭も体も疲れ切った私の脳内で毎日夕方17:00ごろになると叫びだすリフレインです。 そんな内なる声に導かれて、這うように自宅に辿り着いたと同時にキンキンに冷えたシュッワシュワのしろハイボールを一口…。 はふぅー…たまらなすぎる。 この瞬間があるからこそnoteをギリギリ続けられているといっても過言ではない至福の瞬間…。いつもありがとう、しろハイボール。

リアル白岳二刀流時代を経て、現在の白岳の形を造りあげた「減圧蒸留法」というイノベーションと造り手のお話

現在メジャーリーグで大活躍中の野球選手といえば大谷翔平選手。大谷選手の代名詞リアル二刀流は2021年の新語・流行語大賞にも選ばれましたね。 さて、その昔「白岳」にも二刀流時代があったことをご存知でしょうか。 1975年から1979年までの約4年間は「常圧蒸留法」と「減圧蒸留法」という2つの蒸留方式で並行して製造していたリアル白岳二刀流時代なのです。 現在当社で製造している本格米焼酎は全て減圧蒸留法で製造されていますが、今回はこの「減圧蒸留法」というイノベーションと当時の

これであなたも“焼酎通”!?お酒について勉強したいと思いつつも難しい言葉が出てきた瞬間にフリーズしてきた人に向けて、お酒の専門用語をわかりやすく解説してみる

何事にも、「つまづきやすいポイント」というものがありますよね。 算数でいえば分数の割り算、ギターでいえばFコード、ゴルフでいえばバンカーショット。どんなジャンルにも、前向きな初学者たちを無惨に跳ね返す高い壁のような項目が存在するものです。 そんな中、「お酒について詳しくなりたい!」という方にとってハードルが高くなりがちなお酒の造りに関する4つのワードがこちらになります。 今回は本格米焼酎の製造工程をなぞりながら、難しく感じる4つの専門用語についてシンプルにお伝えしていき