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本格米焼酎に懸ける新米社員 神谷 渉が歩み続ける造りの道。悩みながらも自分なりに辿り着いた「働く意味」について胸を張って語ってくれた【はたらく、はくたけ#3】

白岳で働くプロフェッショナルの矜持に迫る社員インタビュー「はたらく、はくたけ」

第3回の主人公は、本格米焼酎の「造り」を担当する製造1課所属の神谷 渉(こうや わたる)さん。新卒で入社して現在に至るまでに、大きく変わったという仕事感やその背景にある想いを語ってもらいました。

PROFILE 神谷 渉(こうや わたる)
2021年入社/福岡県出身。本格米焼酎の原酒を造る製造1課に所属。若手社員として、原料となる米の仕込みから造りの技術まで幅広く勉強中。趣味は学生時代から続けるソフトテニスで、本人曰く「結構強い」らしい

白岳を支える「造り」の仕事

-本日はよろしくお願いします。まずは今のお仕事について教えてください

神谷/よろしくお願いします。まだ新人ですが、大丈夫でしょうか…。

自分は製造1課で、本格米焼酎の「造り」を担当しています。以前noteでも紹介されてましたけど、お米の仕込みからもろみ造り、最後に蒸留まで行って米焼酎のベースとなる原酒(げんしゅ)を造る仕事です。

神谷/自分たちが造った原酒熟成させてブレンドすることで、白岳の本格米焼酎が完成します。この原酒の質が焼酎の味を大きく左右するので、日々全ての工程を管理しながらブレのない原酒造りを目指していくんです。

神谷/ただ自分は勉強中の身なので、先輩の助けを借りながら仕事に取り組んでます。仕込みから蒸留まで覚えることは山のようにありますけど、今は色々な仕事を覚えて早く一人前の造り手として認められたいですね。

白岳を選んで、入社を決めた理由

-神谷さんは新卒入社ですよね、志望動機って何だったんですか

神谷/なんか面接みたいですね(笑)。自分は福岡県でも自然が多い土地で生まれて、小さい頃から生き物に興味があったんですよ。だから、大学も生物の生態を観察するフィールドワークが出来るような学校を選びました。

3年生で食品系のゼミに進んだんですけど、そこで酒造りとも関係の深い微生物の働きに興味を持ちました。自分は何をするにも変化があるものが好きみたいです。酵母も常に変化しますが、ずっと見ていられますし。

神谷/本格的にお酒に興味を持ったのは、ある居酒屋のマスターに出会ったことがきっかけです。そのお店はこだわりの酒を取り揃えてて、マスターから色々教えてもらう内にお酒って奥が深いなって思うようになりました。

就職活動も周りのゼミ生は化学メーカーとかを受ける人が多かったんですけど、自分は自然とお酒の会社が多くなってましたね。

-なるほど。でも、なんで白岳に入社を決めたんですか

神谷/やっぱり、白岳といえば本格焼酎の業界で知らない人はいないブランドですから。あと、一番早く内定を頂けたというのも大きかったです。

-一番早く内定が出たから!?

神谷/はい。自分でも古風な性格だなって思うんですけど、自分を認めて内定をくださったからには期待に応えなきゃ駄目だって思ってしまうんですよ。だから、内定を貰ってすぐに選考中だった他社はお断りしました。

あと、最近は新卒がすぐに辞めるとか言われてますけど、自分は骨を埋める覚悟で入社してます(笑)。子供の頃から真面目な性格だって言われてきたので、その辺も影響しているのかもしれませんね。

一度決めた事は、どうしてもやり通したいと思っちゃうんです。

入社後の苦悩と気付きの瞬間

-そんな熱い想いを持って入社してますが、苦しい時期もあったとか

神谷/そうですね。これは自分にも責任があるんですけど、入社前に抱いていたイメージとのギャップに一時期苦しんでました。白岳といえば有名企業なので、業務も手取り足取り指導してもらえると思い込んでたんです。

ただ、そこはやっぱり職人の世界。教えてもらえる部分も多いですが、先輩の仕事を見て覚える部分も少なからずあります。あと自分と歳の近い先輩も部署に少なかったので、質問するにも戸惑いがちだったと思いますね。

神谷/仕事を続ける中で少しずつ消化不良な部分が生まれて、自分なりにストレスを感じていたのかもしれません。その当時の顔がよほど酷かったんでしょうね(笑)。ある先輩が見かねて、声を掛けてくれたんです。

「神谷、大丈夫か?あんまり我慢せずに何でも相談してくれよ」って。

その瞬間、嬉しいとか通り越して堰を切ったように涙が出ました。おそらくその先輩が周りに働きかけてくれたんだと思います。少しずつ部署の先輩方が、自分に声を掛ける頻度を増やしてくださったんですよ。

神谷/先輩方のご配慮は本当にありがたかったですが、同時に自分からの働きかけも増やさなければいけないと反省しました。それ以降、わからないことがある時は積極的に質問するようにしています。

神谷/まだまだな面はあるかもですけど、以前と比べて自分が納得するまで質問出来るようになりました。そうしたやりとりを重ねる内に、1つ1つの作業がどんな意味を持つのか少しずつ理解出来るようになってきたんです。

神谷/例えば、今自分が行っているのは蒸留器の圧力調整です。もちろん圧力計はあるんですけど、先輩から「音の変化を感じることが大事」だと教わったので、今はその音を自分で判断できるよう訓練中です。

これからも体当たりで先輩たちとコミュニケーションを深めながら、色んなことを吸収していければと思ってます。

自分が「働く意味」を知った日

-最近とても充実しているように見えます。何かきっかけがあったんですか

神谷/そうですね。今年初めて酒類鑑評会に参加したことが大きかったかもしれません。

酒類鑑評会というのは各地域の国税局が開催しているお酒のコンクールのようなもので、うちからは毎年「白岳」本格焼酎部門に出品しています。

鑑評会の様子

神谷/白岳過去56回の入賞実績がありますが、令和4年度も見事最高等級の「優等賞」を獲得することができました。自分も現地にいましたが、造り手にとっては伝統ある栄誉な賞なのでとても嬉しかったですね。

神谷/ただ個人的には、結果よりも審査員の方がおっしゃった「白岳は酒質が綺麗でキメが細かく、雑味や悪い香りが無い」という講評がとても印象的でした。

その講評を聞いた瞬間、自分がいつも積み重ねている掃除もこの白岳の綺麗で雑味の無い酒質に繋がっているような気がしたんです。不思議ですよね。何故だかわからないけど、そんな風に感じたんですよ。

神谷/うちの工場って設備は少し古いかもしれないですけど、とても清潔です。毎日部署のみんなでくまなく掃除してますから。

この鑑評会の日、そんな日々の地味な仕事とかいろんな積み重ねが白岳の味に繋がっているのかもしれないなんてことを勝手に1人で感じてました。

神谷/その辺りから少しずつ自分が仕事をする意味みたいなものを実感出来て、仕事に前向きに取り組めるようになったと思います。

あと、この白岳の酒質は自分のずっと前の先輩たちが何十年もかけて守ってきた文化でありなので、自分たちの代で絶やしてはいけないって考えるようになりました。

まだ未熟な部分も多いですけど、プライドを持って過去の先輩方に認めてもらえるような質の高い酒を造っていきたいです。

日々の仕事と目指したい場所

-色々聞いてきましたが、今の仕事や今後の目標について教えてもらえますか

神谷/新卒で入社した年は先輩のサポートや掃除がメインの仕事だったんですけど、2年目となる今年からはお米の蒸し麹・もろみ造りのような仕事も少しずつ任せてもらえるようになりました。

感覚をつかむのが難しい仕事も多いですが、日々自分が出来ることが増えている気がしてとても充実してるんです。

神谷/その中でも、自分は麹(こうじ)造りが楽しいですね。

麹造りはお酒を造る中でもかなり難しい工程ですけど、良い麹が出来た時はタンクの中のもろみブクブクと元気よく発酵してくれます。その音を聴いていると、自分が造った麹が認められたみたいで嬉しくなるんです。

神谷/あとは、今後の目標ですよね…。

目の前のことを覚えるのが最優先なので、今のところ明確な目標は持てていないかもしれません。ただ、お酒造りの会社に入ったからには、いつか自分の酒を造ってみたいという気持ちはあります。

最近は個性的な酵母なんかも少しずつ増えてきているので、もっと勉強して自分のこだわりを詰め込んだお酒を造りたいですね。

-本日はありがとうございました!

神谷/本当にまだまだ覚えることだらけですけど、取材を通じて白岳を背負っていけるような人材に成長したいって改めて思いました。

あ、たまには飲みにも連れて行ってくださいよ(笑)


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