スタートから3年間ネタを切らさなかった白岳しろnoteの企画術を初公開!新鮮な創作アイデアを生み出し続ける秘訣は“〇〇”にあった
早いもので、白岳しろnoteもスタートから3周年を迎えました。
これまでに書きも書いたり、全132記事・53万文字。「もう書けない…」というピンチに幾度となく見舞われながら、おかげさまで一度も原稿を落とすことなく今日まで投稿を続けてこられました。
そんな中、今回3周年のテーマに選んだのが白岳しろnoteの企画術です。
最近周りから「よくネタが尽きないね」と驚かれることも増えてきたので、この機会に記事作りのポイントを振り返ってみたいと思ったんですよね。
そして、これまで無意識に行っていた記事の制作プロセスを見直してみると、そこには生まれながらのセンスや閃きではなく、自分なりの確固たる方法論があったことに気付いたんです。
ひとり広報として他業務やnoteの執筆を担当しながら、一体どのように毎週の記事アイデアをコンスタントに生み出してきたのか。
この記事では法人noteで頭を抱えがちな企画というテーマに正面から向き合い、当社がこだわってきたポイントを紹介していきます。
ネタと企画の境界線
実は当社が企画について真剣に考え始めたのは、白岳しろnoteがまだスタートする前の2021年11月のことでした。
それはnote担当として社内外の物語を書いていく使命に燃えていた一方で、私には当時からこんな暗い未来が見えていたからです。
このまま無計画に書き始めていくと、いつかネタが枯れてしまう…。
いつの間にかそんな悲観シナリオが頭から離れなくなっていた私は、初投稿前の時間に余裕があったタイミングを活用して、継続的にアイデアを生み続けるための仕組みを考えていくことにしました。
そして最初に始めたのが、これまで何気なく使っていた「ネタ」と「企画」というワードを改めて見つめ直してみること。
その結果、下の図が自分なりに再定義したネタと企画の違いなります。
既に存在するストーリーを記事にしていくネタと、執筆者が物語を構成していく企画というスタイル。その違いを認識した時、漠然と感じていた不安の正体が少しずつわかってきたんです。
それまでの私は限りあるネタを集めることに意識が向くあまり、自分で企画を作るという観点がすっぽりと抜けていたんですよね。
巷にあふれる面白いネタを拾い集めながらも、自分で構成できる企画を通じてnote記事のストックをマネジメントしていくこと。
人類の歴史と同じように、長い時間を生き延びるには収穫が不安定になりがちな狩猟(ネタ探し)だけに頼るのではなく、安定した農耕(企画作り)にも取り組む必要があると確信した瞬間でした。
こうした気付きから、私はnoteで絶対にアイデアを切らさないために「企画を作り込む力」を本気で習得しようと決意したのです。
次章からは、そんな企画作りの能力を身に付けたプロセスやその中で導き出した方法を解説していきましょう。
企画作りのカギは「〇〇化」!?
「企画を作る!」と意気込んだ私でしたが、実際にはまず何から始めたらいいのか全くわからない状況でした。
そんな中、当社の企画作りの方向性を決定づけた運命の一冊と出会います。
USJ再生の立役者で現在は株式会社刀のCEOを務める伝説のマーケター・森岡 毅さんの著作「苦しかった時の話をしようか」。
何気なくこの本を読んでいると、ふいにこの一節が飛び込んできたんですよね。
ーとにかく「動詞」にしてみる
このフレーズを見た瞬間、何かがスパークしたのを覚えています。同時に企画作りの秘訣もここにあるのではないかと思い、この時から企画を徹底して動詞化していったのです。
ここからは、その具体的な方法について説明していきたいと思います。
STEP1.テーマを決める
動詞化といってもその選択肢は無限に出てくるので、まずはスコープを狭めるために記事のテーマを決める所からスタートします。
以前紹介しましたが、当社の場合は米焼酎・noteの書き方・レジャーといったカテゴリーから幅広いテーマを選んできました。
このテーマの段階ではまだ「名詞」の状態なので、企画を作りたくなる気持ちをグッと我慢して本番の動詞化へと進んでいきます。
STEP2.主語と動詞を書きだす
いよいよ動詞化に入っていきますが、ここで大事になってくるのが企画の主語(S)と動詞(V)をしっかり定義することです。
世の中には色々な企画がありますが、結局は「〇〇(主語)が▲▲をする(動詞)」というシンプルな形に集約されます。その2つの変数の掛け合わせによって、自ずと記事の面白さが決まってくるんですよね。
それでは白岳しろnoteの記事を通じて、当社が企画において主語と動詞をどのように工夫してきたかを見ていただきましょう。
2-1 「主語」にこだわる
もちろん主語にインパクトがあるほど、読者に届く可能性も高まります。
WEBの記事でも大物ゲストが出演していると、つい見てしまうもの。私たちのnoteでも記事の主語にこだわって自社の独自性を発揮するために、毎回個性豊かなゲストの方をを取材してきました。
例えば、こちらは白岳しろと同じ人吉出身の俳句講師の方に米焼酎を飲んでいただきながら俳句を詠んでもらった企画ですが、専門家に取り組んでいただいたことで非常に面白い記事になりました。
また、主語となる人に特別な肩書がなくても企画は充分成立するという例がこちら。
これはnoteを100週連続投稿した担当者(私)が究極の米焼酎「百」を飲むという企画ですが、出演は担当者でもその時の文脈や個人の特徴にフォーカスすることで一人何役でも担うことが可能になるんですよね。
ちなみに人気の釣り企画の場合、私は「不器用過ぎて一人で釣りに行けない男」という全く別の主語として登場しています。
大物ゲストをブッキング出来なくても、視点を変えることで個性豊かな主語を設定することも十分できます。その人の社会的な役割や置かれた状況に注目しながら、知恵を絞って魅力的な主語を設定していきましょう。
2-2 「動詞」で汗をかく
無事に企画の主語を設定したら、次は動詞(V)を決めていきます。
動詞化の中心プロセスですが、ここでのポイントは「自分でやるのはちょっと面倒臭い」というキーワード。ド派手な大砲級の企画ではなく、読者が普段やらなさそうなことに汗を流して挑戦するイメージです。
当社では、自社の焼酎片手にローカル線を一日旅した「鉄道酒」企画や…
UHA味覚糖様のお菓子38種類を全部食べてプレゼント商品を選んだ下の記事などは、まさにこのパターンに当てはまります。
これ「米焼酎に合いそうなお菓子を選んでみた」でも良かったんですが、それでは読者が納得しないと思って全種類食べきりました。
読む人が惹きつけられるのは、絶対に自分ではやらないことにチャレンジする姿勢だったり、そのプロセスで生まれる熱量だったりするんですよね。
だからこそ、クリスマスがテーマの時はお菓子作りの先生に弟子入りして手作りケーキにも果敢に挑戦しましたし、無農薬野菜と米焼酎をペアリングする時は農場まで行って自分の手で野菜を収穫するようにしてきました。
動詞とは、その文字通り「人が動く」ことに他なりません。
その中でも普段なかなか経験できない事柄や自社の業界では当たり前でも一般の人が目にする機会の少ない場面などを動詞として切り取ることで、お金を掛けなくても多くの人を惹きつけることができます。
STEP3.チェックしていく
ここまできたら、動詞化もあと一息。
最後は企画案が本当に面白いのか、またコンプライアンス的に問題が無いかを記事にする前にチェックしていきます。ちなみに当社が企画を判断する際は、人気ブロガーのヨッピーさんの手法を参考にしていました。
上の記事で展開されている「広さと深さと距離感」という方程式は、企画が客観的に面白いかを判断する上で有効なメソッドです。
企画を作る上でのマーケティング要素が詰まった良記事で、当社も動詞化した企画を広さ・深さ・距離感という3つの軸で判断しながら実際に採用するかを決定してきました。
また、これはチェックのスタイルに関わる部分ですが、可能であればチーム単位で企画の磨き込みができると多様な意見によって企画がさらに進化する可能性が高まります。
その上で、チームで議論する際に注意する必要があるのが下記2点です。
否定的な意見が多いと企画がトーンダウンしますし、周囲の意見を採用しすぎると今度はエッジの効かない総花的な記事になりかねません。
あくまで周りの声は参考にしながらも、最後は担当者が責任を持って記事の方向性を決定できる仕組みを構築していきましょう。
長くなりましたが、こちらが企画を動詞化する大まかな流れになります。
動詞化することでどんな企画を実行するのが明確になり、他の人にも伝達しやすくなります。そして何より記事全体に動きが生まれ立体感のある仕上がりになりますので、ぜひ一度お試しください。
企画を強くする3つのtips
さて、ここまでは企画を動詞化する手法を見てまいりましたが、この章では当社が企画を作る時に意識してきた3つのポイントを紹介します。
POINT1 WHYをセットに
企画を動詞化する際は主語(S)と動詞(V)を定義することが大事だと解説してきましたが、ここに「Why(なぜ)」が組み合わせることで、読者の記事に対する納得感が醸成されていきます。
例えば、この後輩と米焼酎を飲みながらボードゲームで対決した企画。
単に楽しそうという理由でボードゲームに取り組んでも良かったのですが、入社してから絶好調でこのままじゃ天狗になりそうな後輩の鼻っ柱を折るために勝負するという設定を用意しました。
この戦う理由(Why)が存在しているからこそ、読む人は記事の内容や勝負の行方に感情移入できるようになるんですよね。
私たちが何かに取り組む時には、必ずそこに理由(Why)があるはずです。
せっかく企画を主語と動詞で表現するのであれば、その根本にある想いまでセットで届けて記事に強い説得力を持たせましょう。
POINT2 過去を振り返ってみる
企画といえば、未来に向けて全てを一から構想するイメージがありますが、過去の取り組みを振り返る手法もかなり効果的です。
こちらは以前アップした記事ですが、これまでnoteで私が続けてきたインタビュー活動を企画にしたものになります。
「法人noteのインタビュー振り返り」でも通用したかも知れませんが、主語と動詞に凝って読者へのインパクトを意識しました。
また、こちらは「なぜ米焼酎は熊本だけで飲まれたのか」という記事です。
こうした歴史を語る記事でも、魅力的な主語と動詞を抜き取って解説することで飽きることなく最後まで楽しむことが出来ます。
みなさまの会社にも継続的な取り組みや語れる歴史があると思いますので、そこから魅力的な主語と動詞を抽出してみてください。また、タイトルに盛り込むことで記事の内容も格段にわかりやすくなるのでオススメです。
POINT3「シリーズ化」を狙おう
企画が人気になってきた場合は、ぜひシリーズにしていきましょう。
シリーズ物は主語(S)や動詞(S)を固定化して、毎回同じフォーマットで運用できるので執筆者にとっても非常に効率がいいんですよね。法人noteで一般的なシリーズ企画といえば、社員インタビューが上げられます。
他社事例でいうと、個人的にヨックモックさんが運用されている「私とヨックモック」というシリーズはとても勉強になります。
この企画は毎回ゲスト(主語)が変わってヨックモック愛を語る(動詞)というシンプルな構成ですが、会社や商品の歴史に深みがあるからこそコンテンツが変わらなくても多様な読み口を提供できてるんですよね
良い企画が出来たら、主語と動詞を変えることで他の記事に横展開できないかと考えることがシリーズ化のカギ。上手くシリーズにできれば、企画作成や記事スケジューリングもかなり楽になってきますよ。
誰かが動けば、世界が動く
今回は3周年ということで、白岳しろnoteがこれまで展開してきた企画作りの手法を紹介してまいりました。
このままではネタが無くなるという危機感から手探りで身に付けた企画術でしたが、今では長期的にnoteを運営するための能力として当社の大事な資産となってくれています。
そして動詞化のノウハウもさることながら、この記事で一番伝えたかったのは誰かの「動き」が人の気持ちに火を付けるということ。
誰かが一生懸命動いている理由を知り、その想いやエネルギーに触れる。そんな瞬間、記事にストーリーが生まれて読者に共感が芽生えていくと心の底から信じてこれまで企画を考えてきました。
だからこそ、4年目を迎える白岳しろnoteがこれからも目指し続けたいのが「誰かが動く姿を追いかけて応援していく」ことです。
誰かの小さな動きが、いつか大きな世界が動かす
自分たちのnoteがその媒介になれる日を夢見ながら、また一つずつ記事を紡いでいくつもりです。ということで、また来週からもエネルギッシュに発信していきますので引き続き応援お願いします!