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プログラミング経験0からWEBデザインに挑む人吉の子育てママさんに、当社が4年ぶりに開催する「父の日イベント」の集客を託した話

リカレント教育という言葉を知ってますか?

私も初耳だったので調べてみると、社会に出た後に本人のタイミングで仕事のスキルや知識を新たに学び直すことを指すようです。

2023年3月。そんなリカレント教育について当社にある案内が届きました。

それが、こちら人吉プログラミングブートキャンプへの参画依頼。

案内を読み進めると、書いてあったのはこんな内容でした。

①人吉市が推進する本プロジェクトは2023年3月末に終了したが、その後実施予定のフォローアップ企画に参加して欲しい

②具体的には、未経験からWEBデザインを学び終えた卒業生への課題として何かしらのWEBサイトを制作させてもらいたい


最終成果物のクオリティを見て、実際に使ってもいいと判断した場合は金額を提示して受講生から買い取っていただきたい

なるほど、地元・人吉の市民と企業が連携した実践型のITスキル教育ということですね。確かに企画のコンセプトはとても面白い…。

うーん、どうしたものか…。

白岳しろのWEBサイトはこれまで全てプロのクリエイターが作成しており、本来であれば丁重にお断りするところ。しかしこの時、当社にはこの提案を簡単には見逃せないある理由があったのです。

4年ぶりのイベントを成功させたい

2019年の父の日フェア

その理由とは、今年コロナ禍を経て4年ぶりに復活する父の日フェアです。

2019年「家族みんなで楽しめる」をコンセプトに、子供を持つ女性社員が中心となって企画・集客・運営までの全てを担当したこのイベント。

お父さんだけでなくお子様やお母さんにも楽しんでほしいという想いを込めた手づくりコーナーは大盛況で、来場した多くのお客様から“楽しかった!”という嬉しいお声をいただきました。

みんなで創り上げて、みんなで笑って、みんなに喜んでもらった一日

家族のつながりや熊本の盛り上がりを、再び自分たちの手で生みだしたい。なにより来てくれた人たちと触れ合ってともに楽しみたい…。そんな想いから、このたび4年ぶりに父の日フェアを開催することに決めたのです。

一方で、開催には会場代や人件費などの運営面に費用が掛かることもあり、WEBサイトを始めとした集客面に予算を割けないことには大きな不安を抱えていました。

そんな状況で飛び込んできた今回のご提案。正直、当社にとっては渡りに舟のようなタイミングです。

しかし、WEBサイトの制作経験が無い方とタッグを組んで本当に自分たちの想いが伝わるようなメッセージを届けられるのか。資料だけでは企画の真意がわからないので、直接聞きに行くことにしました。

IT人材が盛り上げる地域の未来

こちらは、今回の事業を人吉市から委託された株式会社iTAN(イタン)の代表  倉田 峻良さんです。たまたま立ち寄った人吉に一目惚れしてオフィスまで構えてしまったという一風変わった倉田さんにお話を伺います。

--人吉プログラミングブートキャンプってどんな事業なんですか?

倉田/いま、人吉市は未来のDX化を託せるようなIT人材の育成を通じて、強い地域経済をつくるプロジェクトを推進しています。

人吉プログラミングブートキャンプもそうした取り組みの一環で、人吉在住の方を中心に無料でプログラミング講座をオンライン受講いただき各々が目的に沿ったスキルを伸ばしているんです。

2022年に第1期がスタートして今年で2期目になりますが、前回の振り返りを活かして2つの点を変更しています。

倉田/1つ目は、初心者コースを充実させたことです。

短期間でコードを書けるまでに成長するのは中々ハードルが高かったので、今期はSTUDIOやfigmaといったソフトを使ってプログラミング言語を使わないノーコード開発と呼ばれるスキルを高めることにしました。

世の中にはノーコードの求人もたくさん募集がありますし、まずはサイト作りの醍醐味を味わって欲しかったんです。

倉田/もう一つは、クライアントワークの観点をフォローアップ企画に取り入れたことです。

漠然とサイトを作るのではなく、白岳さんのような地元企業のオーダーと真剣に向き合いながら活きた仕事を体験する。こんな緊張感は中々味わえるものではないですし、学習効果も非常に高いと信じて取り入れました。

何よりも、地元に住んでいる方とその土地に根付いた企業が仕事を通じてお互いを高めあっていく構図がとても素敵だと思ったんですよね。

第1期のキックオフイベント

倉田/実はいま、ある受講生が白岳さんの案件に興味を持っておられます。

その方は日中会社勤めをしながら空いた時間に一生懸命勉強されている女性で、二人のお子さんのママでもあり、個人的には今回のイベントに秘められた想いを最も汲み取れる方だと思うんです。

もしその熱意に懸けてもらえるのであれば、ぜひ一緒に取り組ませていただけませんか。

--はい…。そこまで仰っていただけるなら、ぜひお願いしたいです!

倉田/ありがとうございます!

ここからは基本的にオンライン上で案件のやりとりをして、2ヶ月後の最終成果発表で御社にサイトを使うかのジャッジをしていただきます。

御社の想いと受講生の熱意が繋がってイベントが盛り上がる未来を楽しみにしていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

ついにサイト制作がスタート

この方が私たちのサイトを作っていただくパートナーのami(あみたろう)さん。人吉で働きながら合間の時間を縫ってIT学習を続けてきた、二人の子供を持つママさんです。

amiさん

プロジェクトの進捗は基本Slackで行うスタイル。

さっそくお互いの自己紹介が始まります。

胃潰瘍は少し心配ですが、やる気がひしひしと感じられる嬉しい自己紹介をいただきプロジェクトがにわかに盛り上がり始めます。

ここからサイトに使う画像やロゴなどの素材をお渡しして、まずはワイヤーフレーム(設計図)の提出を待ちました。

お渡しした前回のフライヤー

そしてamiさんから初めてのイメージ案が送られてきた時、私たちのチームはいきなり大きな岐路に立たされました。

「色々と修正して欲しいけど、仕事も育児も忙しいamiさんにそこまで要求していいのだろうか」

子育てママが多い当社プロジェクトチームだからこそ生まれた葛藤。この先の方向性を決めるためにもチームで議論を重ねます。

話し合った結果、どんなに細かいところであっても修正して欲しい箇所は遠慮なく依頼をしようとみんなで決めました。

amiさんも全力で取り組んでくれているからこそ、私たちも真剣には真剣で応えようと腹をくくったのです。

ちなみに、こちらが実際にお返しした初めての修正案です。

実際の修正

この修正を期に、一切の妥協を排除したぶつかり合いが始まります。

忙しい日常であるにも関わらず、修正依頼に対してどこまでもスピーディーに喰らいついてくるamiさんと…

少しでも修正して欲しい部分があったら、心を鬼にして大量のフィードバックを返し続ける当社…

こんな本気のやり取りを重ねていくうちに次第にお互い考えや実現したいビジョンが自然とわかりあえるようになり、二人三脚でサイト制作と向き合う日々が続きました。

そうした日々の中で、amiさんが提出してくるサイトのクオリティも日を追うごとに著しく変化していったのです。

こうしてamiさんの頑張りと当社の想いが交わった怒涛の1ヶ月間があっという間に過ぎていきました。

そして、2023年5月28日。ついに最終成果発表の日を迎えます。

いま、想いが重なるとき

最終成果発表は人吉市とiTANさんがオブザーバー、当社がジャッジとして参加。そのメンバーにamiさんがプレゼンをしていきます。

ami/あみたろうです。よろしくお願いいたします。

今回のサイトは「子供の楽しい想い出が、父の日のプレゼントになる」というコンセプトを掲げて制作しました。母親が子供とイベントに行ってみたいと思えるよう、背景には可愛くてポップな配色を意識しています。

TOP画面

ami/あと、白岳しろといったら美味しい水というイメージもあったので、自分の好きな色でもある水色を積極的に採用しました。

ami/また、メッセージボトルもお絵かきをする前と後の2つをあえて見せることで、絵が描かれていく過程を表現することにこだわりました。手形を合わせてハートの形を作っているのも地味なこだわりポイントです。

そして全体的に文字は大きく画像もわかりやすいものを選ぶことで、どこで何が開催されるのか瞬時に理解できるようにしています。

ami/初めはホームページとチラシの違いも分からなくて途方に暮れたこともありました。それでも色々な人のアドバイスもいただきながら、今の自分にできるベストを尽くしたつもりです。

最後になりますが、今回は貴重な機会をいただきありがとうございました!

amiさんの4ヶ月間をすべて開放した、眩しいほどのプレゼンテーション…

発表後は、人吉市様からの質問や講評と…

倉田さんからの感想や技術的なアドバイスが入り…

いよいよ…入札時間となりました。

果たして、4年ぶりに実施する父の日イベントに当社はamiさんのサイトを利用するのか…

それとも、今回は泣く泣く見送るのか…

その答えが…

こちらです!!

このたび、amiさんのサイトを30,000円にて落札させていただきました!

父の日イベントのターゲットである母親としての顧客目線、細部にこだわって粘り強く作り続けた仕事への姿勢、そして何よりも制作物のクオリティをこの1ヶ月で格段に上げてきた努力の結晶。

サイトの見栄えだけでなく、その想い全てを全国に発信するためにこの金額で買い取り、実際に使用させていただくことにしました。

そして最後に、個人的にとても気になっていた「なぜamiさんがこの企画に参加したのか」という質問を投げかけてみました。

ami/私は犬が好きなんですけど、いま人吉にはペットカフェが無くていつか自分で立ち上げたいというがあるんです。

もしその夢を果たそうと思った時に自分でWEBサイトを作る事ができれば、それは大きな力になると思って挑戦しました。参加費が無料で飛び込みやすかったことも、自分の背中を押してくれた大きな要因でしたね。

amiさん作成のサイト

株式会社iTANプレスリリース

IT人材の育成を通じて強い地域経済を目指す人吉市、夢を追い求めるためにその仕組みを活用したamiさん、そしてそんなamiさんの想いに突き動かされた私たち地元の企業。

こうした想いがいまこの瞬間に重なって、自分たちだけでは到底成し遂げられなかった素晴らしい場所に辿り着くことが出来ました。

amiさん、4ヶ月間本当にお疲れ様でした!

そして、伝説のイベントへ

というわけで、このたび4年ぶりに「白岳 父の日ファミリーフェス2023」を開催します。全てのコーナーが社員の手づくりということもあって、ワクワクとドキドキが詰まった2日間になりそうです。

4ヶ月以上ものあいだ、子育てママたちが手を取り合って作りあげた父の日イベント。

その物語の結末は、ぜひご自身の目で確かめに来てください。きっとそこには輝きにあふれた笑顔の輪が広がっているはずですから。