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白岳の若きブレンダー野島 達也は静かに語る。伝統の味を守り抜くための信念と日々変わらぬ仕事に備える意味【はたらく、はくたけ#2】

白岳で働くプロフェッショナルたちの矜持きょうじに迫る社員インタビュー企画、「はたらく、はくたけ」

今回お話を伺ったのは、焼酎のブレンドや熟成を担当する製造2課所属の野島 達也(のじま たつや)さん。自身の感覚で最終的な焼酎の味を判断するブレンド業務のやりがいや奥深さについて語っていただきました。

PROFILE 野島 達也(のじま たつや)
2015年入社。焼酎の味を決めるブレンドや熟成を担当する製造2課に所属し、白岳商品の品質を安定させるための幅広い業務を担当。毎晩の晩酌が大好きな一方で、最近は健康診断の数値も地味に気になり始めている。

白岳の品質を守りぬく使命

試飲はいつも真剣勝負

-本日はよろしくお願い致します。野島さんは製造2課所属ですが、普段はどんな業務を担当されてるんですか?

野島/蒸留したてのアルコール度数を調整していない焼酎を原酒げんしゅといいますが、製造2課は原酒の度数(アルコール)調整や不純物を取り除く濾過ろかブレンド比率を決定する業務をメインに焼酎の変質を防ぐ品質管理も担当しています。 

まず、タンクで貯蔵熟成したベースとなる原酒と他の様々な原酒をブレンドしてから、不純物を取り除く濾過を行います。その後、濾過した焼酎に割り水を加え、酒質(香味)アルコール度数を調整していくんです。

業務の中でも特に大事なのが、官能検査と呼ばれるきき酒です。きき酒の結果によってブレンド率を決めたり、濾過具合を調整します。 この工程は焼酎の品質を左右する仕上げの業務なので、とても気を遣いますね。

焼酎を詰め終わった後も、アルコール度数、容量、酒税などの計算、タンク洗浄、関係各所への提出書類作成まで商品の品質や生産を安定させるための業務はなんでもやってます。 一般的にはあまり知られてないですが、焼酎が世に出るまでには超えなきゃいけないハードルが意外と色々あるんですよ。

細かな業務も多い製造2課

-野島さんと言えば、割と工場をウロウロしているイメージがあるんですが

野島/あれも、仕事の一環ですよ(笑)。うちは原酒を造る製造1課とブレンドした焼酎をパックや瓶に詰める製造3課の中間にある部署なんで、3つの工程が上手く連結するように間に入って調整することも多いんです。

焼酎は原酒が無いと絶対に造れないので、製造1課には2,3ヶ月先までの生産スケジュールを見越して原酒の量が足りているかを確認しますし、製造3課にはパックや瓶の資材在庫焼酎タンクの管理状況を確認します。

いつも「あれどうなったんだろう」とか「これ間に合うのかな」なんて事を考えてるもんで、結果として工場をウロウロしちゃってるんでしょうね。基本的に心配性なんですよ。

社内での立ち話も貴重な仕事の機会

攻めのブレンド、守りのブレンド

タンクから原酒を取り出す

ーでも、「ブレンダー」って焼酎の味を決められる面白そうな仕事ですよね

野島/ブレンダというと「個人が酒の味を決める」というイメージを持ってる人が多いかも知れないですけど、うちの場合はちょっと違いますよ。お客様が求めているのはあくまで長年受け継がれてきた白岳の味なので、自分たちのブレンドはその味が変質していないか確認する守りの要素が強いです。

あと、原酒の状態はその時々で異なるので、ブレンダーの仕事は違和感に気付くことが最も大事ですね。だから、普段の体調管理も重要な仕事なんですよ。 体調が良くないと、正確なきき酒が出来なくなりますから。

あと守りって意味でいうと、焼酎の管理も製造2課の大事な仕事です。タンク漏れなどによる出荷前焼酎の紛失亡失ぼうしつといいますが、これだけは絶対に起こしちゃいけないんです。亡失酒税法事故として厳しく規定されていますからね。

どんなに注意していても小さなミスでタンクから漏れ出す可能性があるので、バルブの開け締め1つにもかなり注意してますよ。帰宅した後、バルブを締めたか気になって会社に戻ってきたこともあります。

亡失注意の張り紙

-守りの要素が多い製造2課の仕事で大事なことはどんなことでしょうか。

野島/まあ、「絶対に仕事に慣れない」ってことじゃないですかね。

仕事に慣れが出ると小さな違和感を見逃すようになるので、どうしてもミスが出るんです。自分は入社7年目になるけど、今でも朝出社したら必ずその日やることをリストアップして1つ1つ確認します。効率は悪いかもしれないけど、自分の不注意で焼酎をダメにする訳にはいかないですから。

あとは、常に不安な状態でいるってことかな。ミスや事故が起こるかもしれないという前提で気を張っていないと隅々まで注意が行き届かないんです。

ちょっと前に「製造2課に採用するならどんな人がいい?」って聞かれた事があるんですけど、その時は「とにかく臆病で心配性な人をお願いします」って答えた記憶があります。1つのミスがとんでもない事故につながる部署なんでね。慣れた作業でも、その都度真剣に確認する必要があるんですよ。

野島達也の「こだわりの道具」と原点

年季の入った計算機とボールペン

-野島さんが仕事で大切にしている「こだわりの道具」を持ってきていただきましたが、これは計算機とボールペンですね。

野島/ちょっと地味過ぎたかな(笑)。自分たちの仕事はどんな些細な事でも計算してメモに残すことが大事なんで、計算機とボールペンはいつも持ち歩くようにしてます。大袈裟かもしれないけど、2課の仕事って本当に確認と記録の連続なんですよ。

例えば、タンクに貯蔵されている焼酎量も常に記録しておかないと変化に気が付けないので、タンク横にはその場でメモをとれるようにメモ用のセット一式用意してます。

「必ず記録する」「絶対記憶に頼らない」というのがこの部署で働く上での鉄則です。道具自体はシンプルなんですけど、気付いた瞬間にメモを残すことが大事なんです。

タンク脇のメモ用紙

-細かにチェックしながら物事を進めるスタイルは、生まれつきですか?

野島/うーん…性格もあるかもしれないけど、どちらかといえば前職の経験が大きいかな。自分、今の仕事をする前は土木工事の現場監督をしてたんですよ。現場監督って工事全体の工程を常に管理しなきゃいけないので、今の仕事に比較的近かったかもしれないです。

あと、土木工事の現場は1つの判断ミス人命に関わるんですよ。自分の判断によって作業員の人たちの命が危険にさらされる現場で働いていたので、そのプレッシャーは凄かったし、絶対にミスを起こしてはいけないという思いを持って働いてましたね。

そういう意味では、人一倍リスクにはうるさいタイプかもしれません。どうしたって、細かな点が気になりますから。

1度だけ同僚に声を荒げたことがあります。

その時は、空タンクのバルブを締め忘れてたんです。まあ、単純なチェックミスですよ。もちろんタンクは空なんで、焼酎が漏れることはないです。でもね、こういうのって一事が万事なんです。

空タンクだからってバルブを締める工程を省くようになれば、その後絶対に焼酎が入ったタンクのバルブも締め忘れるようになる。リスクってそういうもんです。どんな時も1番厳しい姿勢でいなくちゃいけない。少し細かすぎるかもしれないけど、自分なりの責任感の示し方だと思ってます。

自分の後ろには誰もいないと思って、仕事には臨むようにしてますね。

大好きな晩酌と今後の抱負

-日々かなり神経を遣う業務だと思いますが、どうやって息抜きしてるんですか?

野島/1番の楽しみは日々の晩酌です。家でも飲みますし、外に飲みに出るのも大好き。うちの米焼酎が中心ですけど、勉強のために色んな種類のお酒には意識的に触れるようにしてます。

飲み過ぎちゃダメだと思いながらも疲れて帰ってきた時の一杯は最高なんで、ついつい飲んじゃう日もあります。最近は健康診断の数値に如実に表れてきてるんで、少しは控えていかないといけないですね(笑)。

-野島さんの今後の抱負や目標について教えてください

野島/まあ、これからも今までと変わらずですよ。日々やるべきことを責任を持ってちゃんとやり続けるだけです。それが、昔から続けてきた自分のスタイルでもありますから。

-野島さん、今日はありがとうございました!

野島/今日はありがとうございました。いつも工場を動き回ってるんで、また何かあったら声掛けてくださいよ。

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