農林水産大臣賞を受賞した「たぁ坊の原木しいたけ」を七輪で焼いて白岳しろで流し込んだ瞬間、あまりの美味しさにむせび泣いた話でもしようか【旅する米焼酎 SHIRO×KUMA#2】
白岳しろと最高にマッチする究極の食材に辿り着いてみたい…。
そんな想いを叶えるためにスタートしたのが、旅する米焼酎 SHIRO×KUMA(しろくま)。白岳しろ(SHIRO)に合う絶品食材を探しに熊本県内や人吉球磨(KUMA)を旅する美味しい企画です。
今回紹介する絶品食材は、「たぁ坊の原木しいたけ」。
多良木蒸留所から車で30分の距離に位置する多良木町槻木(つきぎ)集落のクヌギ原木で栽培されたしいたけで、令和3年に開催された第54回全農乾椎茸品評会で最優秀賞にあたる農林水産大臣賞を受賞した逸品です。
そして、もう1人の主役が「たぁ坊」こと落合 龍見さん。栽培が非常に難しいとされる原木しいたけ栽培に約40年間従事し、全国でも最上級の評価を得るほどまでにその品質を高め続けた原木しいたけ作りの匠です。
今回は白岳しろと原木しいたけによる最高のSHIRO×KUMAを実現するために生産者の落合さんに原木しいたけ栽培の魅力や難しさ、そしてそのやりがいについて聞いてみました。
「原木しいたけ」は何が違うのか
まず、私たちがいつもスーパーなどで手に取るしいたけは殆どが「菌床しいたけ」と呼ばれるもので、全しいたけ流通量の約90%を締めています。
菌床しいたけの特徴
一方、落合さんが生産する原木しいたけは一般的なお店には流通されることが少ないしいたけで、生産される割合は全体流通量の10%以下です。
原木しいたけの特徴
上記の通り、原木しいたけは自然の影響を受けやすく安定した生産が難しい作物です。また、原木に菌を植え込んでから収穫までの期間も約2年と長く、生産者にとっては非常に手間暇がかかるしいたけでもあります。
それでも「原木しいたけ」にこだわる理由とは
原木にしか辿り着けない境地
それにしても、なぜこんな大変な工程を経てまで原木しいたけにこだわって栽培するのでしょうか。そんな問いかけに、笑顔で答えてくれました。
「そりゃ、風味が全然違うけんな。やっぱり、しっかりと手間をかけた原木はおいしかもん。この香りはクヌギの原木じゃなかとだせんやろね」
おいしさの秘密について、落合さんは続けます。
「うちで採用してる品種は収穫時期が春と秋に限られとるけん、年中収穫は出来んとよ。だけん、出荷する時は基本的に乾燥しいたけになるたいな。うちのしいたけはその乾燥方法にこだわとって、じっくり風味をつけるために30時間から40時間は乾燥させる。乾燥温度も絶対に50度以上にならんごとマメに見てやらんといかんもんな。大変ばってんが、これが大事たい。」
安定した品質を追い求めて
続けて、しいたけの品質を安定させるために日々の取り組んでいる事についても教えてくれました。
「30年以上原木しいたけを作り続けとるばってん、毎日気温と湿度をメモしてグラフにしとっとよ。自然が相手だけんね。そうしとけば、毎年気候条件が違っても過去のデータと照らし合わせて仕込みや収穫の時期がわかるもんな。ノートを見れば、ここ30年の気象傾向も一発でわかるばい(笑)。」
「あとは毎日の原木の管理やろね。美味しいしいたけを作るには原木の水分量が大事だけん湿度や雨には特に気を遣うし、原木を持ち上げて重さで水分量の把握もしたりする。あと、雨の日は必ずビニールを掛けに行くようにしとる。しいたけの保温目的もあるし、雨による品質低下は絶対に防がなんけんな。
その他には、天地返しっていう全部の原木を定期的にひっくり返す作業や芽切り散水っていう水分を行き渡らせる作業も欠かさずにやっとるよ。面倒ばってん、その分しいたけが味で応えてくれるけんね。」
「ほら、これがうちのしいたけ。香信っていって、どんことは違ってカサが平べったくてヒダの立ち方が綺麗とよ。」
落合さんはそう言うと、おもむろにしいたけをもぎって手渡してくれた。
「せっかく収穫まで見に来てくれたけん、少し持ってかえんなっせ。貴重な原木の生しいたけばい。原木しいたけは乾燥物しか流通せんばってん、こればっかりは収穫したもんの特権たいな。食べ方はカサの方だけを焼いて、水が出てきたら塩をパラッと振りかけるくらいでよか。こら、うまかけん!」
取材を受けて頂いたにも関わらず、お土産まで頂けるなんて…。
このタイミングで私たちもすかさず白岳しろをプレゼント。
「おお、焼酎はありがたかな。またじっくり飲ませてもらおうかね。秋にも収穫が待っとるけん、またきなっせ!」
落合さん、今回はありがとうございました!
さっそく、炭火で焼いてみた
このSHIRO×KUMAという企画は、食材と白岳しろを合わせるまでがワンセット。というわけで、多良木蒸留所に帰ってしいたけを焼いていくことにしました。でも、どうせ焼くのなら本格的に炭火で焼いてみたい!
そう思いながら、うちの社員さんに相談してみると…
「多分、うちの蔵に七輪があったと思うな」
声をかけたら速攻で蔵から七輪が出てくるのが、人吉球磨クオリティー。丸の内や新宿のオフィス街ではこの早さで七輪は多分出てこないと思います。
さっそく落合さんに習った方法でしいたけを並べてみました。
待つこと、約10分。
ジリジリしながら待っていると、少しずつしいたけから水分が出てきます。
思わずギャラリーから「おおっ!」という声が上がったのがこの瞬間です。
う、美しい。
落合さんの原木しいたけは本当にヒダの立ち方が綺麗で、芸術品のような佇まいをしているんですよね。ずっと眺めていたい気持ちになります。
と、見惚れている場合ではない!
ここで落合さんに習った方法とおりに、上から塩をパラリ。
そのまま、追加で待つこと約5分。
ついに、「たぁ坊の原木生しいたけ」が焼き上がりました!
その完成した姿が、コチラです!
まさか多良木蒸留所の休憩室前とは思えないであろういい感じの雰囲気に。
今回合わせたのは、白岳しろのお湯割り。炭火焼きのしいたけをハフハフしながら熱いお湯割りで体を温めちゃおうという魂胆です。
まずは、アツアツの原木生しいたけを一口…
これが、本当にしいたけなのか。
肉厚のしいたけからは旨味の詰まった汁が溢れ出してくる…。
その反面、香りはスッキリとしていて原木の香りがそのまましいたけに移っているような今までに食べたことのない食感と風味がする。
これは、凄すぎる。
この口にしいたけの風味が残った状態で、しろのお湯割りを一口。
ふぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
こんな、絶妙な組み合わせがあっていいのでしょうか。
こんな、贅沢な時間があっていいのでしょうか。
お湯割りにしたことで、落合さんのしいたけの風味に負けない力強さが生まれていますね。その上で、決してスッキリとした飲みごたえを損なわないのが白岳しろのポテンシャルだと実感しました。
この一瞬、口の中で幸せが暴れまわってましたね。
今回の「たぁ坊の原木しいたけ」は、満場一致でSHIRO×KUMA認定の味でございました!
というわけで、今回のSHIRO×KUMAはいかがだったでしょうか。
ちなみに落合さんの原木しいたけ(乾燥)はたらぎ財団オンラインショップ「EBESSAN(えべっさん」にて購入出来ますので、ぜひお買い求め下さい!※落合さん個人で小売はやっておりませのでご注意を
次回はあなたの町の美味しいものに会いに行くかも知れません。
取り上げてほしい食材がありましたら、ぜひコメント欄に書いてください。
それでは、また次回!
今回紹介した多良木町槻木地区のWEBサイト