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焼酎カクテル「金魚」で夏にお別れを!人吉発の“唐辛子日本一プロジェクト”に潜入して、地元の赤としろで珠玉の一杯を彩ってみた

最近、朝晩がめっきり涼しくなってきましたよね。

つい先日まであれだけ猛暑に苦しんでいたのに、いざ過ぎ去ってしまうと無性に夏が恋しくなってしまうのは何故なのでしょうか…。

「神様、もう少しだけ夏を楽しませて…」

そんな淡い願いを思い浮かべながらSNSを眺めていると、なんと偶然にもこんなピッタリの一杯が表示されたのです。

その名も焼酎カクテル「金魚(きんぎょ)」

焼酎の中に唐辛子と大葉を受かベて優雅に泳ぐ金魚を演出した飲み方で、まさに夏の名残を感じさせる粋なカクテルなんですね。

テンション上がりまくった私は、すぐに熊本産の唐辛子をネットで検索。

すると、なんと私たちの地元・人吉で「唐辛子日本一プロジェクト」なる熱い取り組みが発足しているというではありませんか!

さっそく連絡してみた所、「ぜひうちの唐辛子を使ってください!」と快くOKを出してくれたのが株式会社エヴァウェイの石原さんです。

PROFILE 石原  卓也 ISHIHARA   TAKUYA
エヴァウェイ株式会社 事業推進本部 統括部長/プロジェクトの責任者として、九州中の農家と連携を取りながら国産唐辛子の普及を進めている

熊本を中心に九州全域で国産の唐辛子作りに取り組んできた、石原さん。

事業開始から約15年もの間、数多くの試行錯誤と粘り強いコミュニケーションを重ねて多くの自社アイテムを生み出してきました。

国産の唐辛子と本格米焼酎で作る「金魚」とは、一体どんな味わいなのか?

今回は人吉の畑で新鮮な唐辛子を収穫して、燃えるような赤とスッキリとした「しろ」のコラボレーションを実現していきたいと思います。

赤い実りと作り手の想い

--真っ赤な唐辛子が一面に!ここは石原さんたちの畑なんですか?

石原/いえ、ここは当社の契約農家さんが所有する畑なんです。

私たちのビジネスは唐辛子の種を提供して、農家の方々が収穫した作物を商品へと加工していくんですよ。ちなみにこの畑で毎年素晴らしい唐辛子を作っていただいているのが、こちらの上野さんです。

上野さん

--唐辛子って、本当に燃えるような色をしてるんですね。

上野/初めて来られた方は、みなさんそうおっしゃいます(笑)。唐辛子の赤色って、見るからに生命力があるんですよ。

うちの畑ではGW前後から種を植え始めて、毎年8月~9月頃に収穫します。ただ最近は異常な暑さも影響して、色付くペースも年々早くなってる印象があります。この感じだと、今日か明日には収穫しないとな。

--唐辛子って、農家の方々にとってはどんな作物なんですか?

上野/まず生命力がとても強くて、ある程度放っておいてもしっかりと育ってくれる安心感がある作物ですね。

そして種に含まれるカプサイシンをシカやイノシシが嫌うので、畑が荒らされにくいというのも農家にとってありがたいポイントです。

上野/あと、そんな感じであまり腰を曲げずに作業が出来るのも日々の仕事の中ではありがたい要素なんです。それに広い土地も必要ないので、人吉のような中山間地域でも育てやすい野菜なんですよ。

あ、せっかくだから一つもぎって食べてみられませんか?

それでは、お言葉に甘えて。

あ、思ったより辛味が少なくて食べやすい!

ん…?

--うお!一気に辛味が来た!これは結構効きますね…。

上野/あはは。でも、辛さの中にしっかりとした甘みも感じられませんか?

実は唐辛子って、熟すほど甘さが出てくるんです。僕たちはこの完熟具合を見極めながら、赤くなる前の青唐辛子も収穫してタイプの違う商品として出荷しています。

青唐辛子

上野/唐辛子はある程度放っていても育ちますが、手間を惜しまずに丹精を込めて作るとより素晴らしい味になってくれるんですよ。

他の作物と比べても作付面積当たりの収入は良いし、そもそも機械での収穫が出来ないから大きな設備投資も必要無いので、唐辛子は農家のやる気次第で無限の可能性を秘めた作物だと感じます。

上野/それに石原さんたちも単に種を提供されるだけじゃなく、農家と一緒に毎年の出来を確かめながら振り返りや改善指導をしてくれるんです。

そんな風に農家と企業が二人三脚で取り組みながら、収穫した唐辛子を全国に流通させる流れを地道に作ってこられたからこそ、このプロジェクトも少しずつ大きくなってきたんじゃないですかね。

石原/今日はうちの唐辛子でカクテルを作ると聞いてます。今が色や大きさもベストですので、ぜひ綺麗なのを持っていってください。

--上野さん、ありがとうございました!

石原/素晴らしい唐辛子が手に入って良かったですね!それでは、次に当社が唐辛子を加工している工場に見学していただきましょう。

「日本一の唐辛子」を目指して

石原/ここの人吉工場では九州各地で収穫された唐辛子を集められて、乾燥・カット・粉末化などの加工が行われています。

企業秘密なのでお見せ出来ないのが残念ですが、当社で使用している唐辛子の加工機械は日本に2台しか存在しない特注品で、糸切り・ホール・一味・輪切りといった様々なタイプの商品を製造できるんですよ。

石原/また加工技術だけでなく、当社の場合は契約農家さんから辛さと旨みが揃った質の高い唐辛子を安定的に仕入れられていることも大きいんです。

石原/九州の美しい水や温暖な気候に加えて、契約農家さんたちの素晴らしい手仕事があるからこそ、当社もこの地で「日本一の唐辛子を作る」という大きな夢を追い続けられているんですよね。

--どんなきっかけで、唐辛子日本一プロジェクトは始まったんですか?

石原/元々は人吉球磨で化粧品の原料となるイチョウの葉を採り始めたのが、この事業をスタートしたけっかけでした。

いざ人吉で仕事してみると、農家の高齢化による耕作放棄地の増加や獣害による深刻な被害など、これまで意識すらしていなかった中山間地域の課題が次々と飛び込んでくるようになったんです。

そんな現状を目の当たりにする内に、ビジネスを超えて「この地域を元気にしたい」という想いが強くなっていったんですよね。

石原/そして自分たちに出来ることを考えた末に辿り着いたのが、地域全体で国産の唐辛子を育てていくことでした。

唐辛子は軽量で作業負担も少ない上に、獣害にも強い。加えて大規模な設備投資も必要ないので、山沿いの狭い田畑が多くて、人手が慢性的に少ない人吉球磨でも勝負できる作物だと確信したんですよ。

あと、国内で流通する唐辛子のほとんどが外国産というのも面白いなと感じましたね。「あ、これは頑張り次第で日本一を目指せるかも」って(笑)。

石原/そうして唐辛子栽培に取り組む中で、色々なことが見えてきました。

特に新鮮だったのが、いつの間にかこの事業が高齢農家のコミュニティ作りを担っていたことです。例えば「孫にお小遣いをあげられた」とか「ご近所との会話が増えた」なんて嬉しい声をいただく機会が増えたんですよ。

地域を元気にしたいと思って始めたプロジェクトが、高齢者の生きがいにつながっていたことが率直に嬉しかったですし、年齢を重ねても挑戦できる唐辛子だからこそ紡げた絆なんじゃないかと思ってます。

石原/また高齢の方々だけでなく、最近は若い農家さんの間でも収穫が好調だった年には仲間内で慰安旅行に行かれるなど、唐辛子栽培を通じて新たなコミュニケーションが輪が広がっているみたいです。

これからも毎年の説明会や振り返りの機会を通じて農家さんとの連携を深めながら、九州を唐辛子の一大生産地へと成長させていきたいですね。

--最後に、これからの方向性について教えてください。

石原/今後も日本一の唐辛子を目指して、その可能性を追求し続けたいです。

例えば、2023年には当社商品の「華火(はなび)」とエースコックがコラボしたカップ麺も登場しました。これまでの唐辛子のイメージを超えて、こうした新しい提案も次々と仕掛けていきたいんですよ。

石原/全国のスーパーでも「国産の唐辛子はないの?」というお客様の声が増えているみたいで、これまでの流れが大きく変わっているのを感じます。

美味しい唐辛子を作ることはもちろん、自らのアイデアで新たな食文化を生み出していくことも私たちの役割だと思ってますから。

石原/そして、やっぱり最終的には唐辛子を通じて日本を元気にしたいです。

商品が売れることも大事ですけど、このプロジェクトが始まった時に掲げた「地域を元気にする」という想いはやっぱり大切にしたくて。農家さんたちと一緒に作った唐辛子がその起点になれたら、もう最高ですよね。

石原/九州の農家さんが手掛けた国産唐辛子と日本の米焼酎の相性は最高だと思うので、ぜひ美味しい「金魚」を作ってみてください。

あと、うちの商品は全て自社ECサイトからも購入できますので、こちらも是非チェックしてみてくださいね!

焼酎カクテル「金魚」に挑戦!

さあ、最後は本来の目的でもある「金魚」づくりに挑んでいきましょう!

上野さんの畑で収穫したばかりの唐辛子と新鮮な大葉を準備して、今回は割材との相性がいい白岳しろで作っていくことにしました。

まずは、氷を入れたグラスにしろを注いで…

その後に炭酸水をなみなみと注いで…

シンプルな白岳しろのソーダ割を作ります。

さて、ここで大葉を氷の間に差し込んで水草を演出していきますよ。

うん、いい感じ!

最後は主役の唐辛子を、ぽつんと浮かべてあげると…

あっという間に、和の焼酎カクテル「金魚」の完成でございます!

うわぁ、見ているだけで涼しい気分になりますね。

私も金魚初体験ですので、さっそく飲んでみることに…

あっ!想像していた以上にしっかりとした辛味が感じられて、美味しい!

すっきりとした米焼酎に唐辛子のアクセントが加わって、見た目の爽やかさとほのかな辛味を同時に味わえるのが実に楽しいんです。

あと飲み進めるうちに唐辛子の辛味がどんどんクセになってきて、いつの間にかその風味にハマってしまってるんですよね。

いやはや、これはたまらん一杯でございました…。

というわけで、今回は人吉が誇る唐辛子と米焼酎でコラボして和の焼酎カクテル「金魚」を作ってみました。

唐辛子と大葉など自宅にある材料で手軽に作れますので、みなさんもぜひご自宅でチャレンジしてみてくださいね。美味しいですよ!