白岳しろラップ「俺のしろ」を作った熊本の人気ラーメン店主 中川原 堅一郎 a.k.a KEN VOLCANOに聞く、人生を丸ごとライブにして楽しむ秘訣
今日はいつもと趣向を変えて、この一曲からスタート。
どこかで聴いたことがありませんか?
気づいたかもしれませんが、この曲は人気バラエティー「水曜日のダウンタウン」の検証結果シーンで使われているBGMなんです。
そして、冒頭“FOO〜♪DOSMOCCOS!”と軽やかに調子を上げるラッパーこそ、今回の主役 中川原 堅一郎(KEN VOLCANO)さん。
異色の風貌で堂々とたたずむ、中川原さん(以下:KENさん)。
普段は、ネットニュースメディア ねとらぼの熊本県ラーメンランキングで堂々の一位を獲得した人気店「らぁめん臨機」の店主を務めています。
常日頃から理想の味を追求するKENさんですが、同じように情熱を傾けるのが熊本を代表するラッパーとしての顔。
過去には始めに紹介したDOSMOCCOSのKEN-1-RAW(ケンイチロウ)、現在はBoomdigiというユニットのKEN VOLCANOとして熊本弁を駆使したラップで地元のHIPHOPシーンを盛り上げ続けているんです。
そんなKENさんと出会いも、noteでした。
以前、熊本の子飼商店街を取材した際に白岳しろに合う自慢のおつまみを差し入れてくださったKENさん。
持ってきていただいた絶品おつまみを楽しんでいる際、KENさんがおもむろに発した衝撃の一言がこちらです。
は、白岳しろのラップ…?
社内でもこれまで聞いたことのない白岳しろラップなるものを初めて知り、「改めて取材させて頂けませんか!?」と頼んだことがきっかけでこの記事が実現しました。
ラッパーからラーメン店主、そして商店街の盛り上げ役まで、目の前の風景を面白く変えようと挑み続けてきたKENさん。
今回そのファンキーなキャリアを掘り下げながら、白岳しろラップについて聞きました。
熊本発ユニット「DOSMOCCOS」
--まずは、KENさんについて教えてください
KEN/僕は熊本の生まれなんですけど、高校時代にハマったダンスがきっかけで音楽の世界に入りました。当時はダンスブームの真っ只中でね。街のクラブやディスコで踊ってる人たちがとても眩しく映ったんですよ。
大学で本格的に音楽に打ち込んで、スチャダラパーさんやMUROさんといった当時のシーンを席巻してた方々と知り合うんですけど、まあこの人たちが強烈にカッコよかった。
その人たちと過ごした濃密な時間や時代の熱狂に背中を押されるようにして結成したのが、HIPHOPユニット「DOSMOCCOS」だったんです。
KEN/DOSMOCCOS(ドスモッコス)は熊本弁で頑固者を意味する「もっこす」とスペイン語で2を意味する「ドス」を掛け合わせた造語です。
結成前から餓鬼レンジャーのポチョムキンと「ばってんlingo」という熊本弁ラップを手掛けてたこともあって、熊本から出て来た2人組として東京で勝負してみたいと付けた名前がDOSMOCCOSでしたね。
思い返すと、あの頃は自分たちが愛する熊本の文化をラップに載せて日本中に伝えたいって想いが強かったかな。
KEN/東京でラッパーとして活動していた期間は、人生すべてを掛けて音楽と繋がるために生きてた気がしますね。
いま作っているラーメンも、東京で働いてたお店の味がルーツなんです。そこは音楽関係者がよく集まる店で、何かしらの糸口を掴みたいと思って働きはじめたんですよ。
当時は「とにかく何か一つで身を立てたい」という執念に突き動かされていたんじゃないかなあ。でも、挑戦して学んだ事や身につけた考え方が今の自分を作ってくれていることは間違いないです。
白岳しろラップ「俺のしろ」
--いよいよ本題です。「白岳しろのラップ」は、どのように生まれたんですか
KEN/白岳しろのラップ「俺のしろ」は僕たちの2ndアルバム MOCCOS MOST WANTED に収録されている曲なんです。
他の曲も含めて、Apple Musicサイトで視聴できるのでぜひ一度聴いてみてください。
KEN/ね、普通にいい曲でしょ?
「俺のしろ」は凱旋ライブで熊本に帰ってきた時、熊本空港で見た白岳しろの大きな看板にインスパイアされて作った曲なんですよ。
僕たちの曲作りには「熊本のカルチャーを発信する」というテーマがあったんで、熊本を代表する酒といえば白岳しろということになり、この文化は発信せんといかんだろと思ってしろのラップを作りました。
KEN/いい曲が出来たんで「白岳しろの会社に送ろうぜ!」なんて少し色気づきながら、実際に送ったりしてね。ワンチャン何か起こらないかなって期待してたんですけど、今でも色よい返事はいただけてません(笑)。
でも、白岳しろは本当に飲みやすくていい酒ですよね。
まさにスタンダードって感じで好きですよ。僕は天邪鬼というか長いものには巻かれたくないみたいな性格なんですけど、しろは熊本を代表するお酒だと心から思えますもん。
KEN/熊本の良さをPRする宣伝部長みたいな自覚を持って音楽をやってきましたからね。「俺のしろ」を通じて少しでも白岳しろを知ってもらえてたら素直に嬉しいですよ。
DOSMOCCOSが熊本弁ラップにこだわってきたのも、生まれ育った熊本が本当に好きっていう気持ちの表れでしたから。
音楽とラーメン、その根底にあるもの
--音楽とラーメンって全く畑違いですけど、なぜ飲食の道に進もうと思ったんですか
KEN/響きだけ聞くと、全く違う分野に思えますよね。でも、僕は音楽と飲食ってかなり近い存在だと思ってるんです。
いいパフォーマンスをすれば、お客さんが目の前で応えてくれる。
こんなにライブ感を味わえる仕事って他にはなかなか無いし、目の前にいる人が笑顔になったりワクワクしている瞬間を見ると、心底「自分には表現の手段があって良かった」って実感できるんですよ。
KEN/音楽もラーメンも、僕にとって作り方は同じです。
音楽はベース、ラーメンはスープ。どちらも下地となる部分にじっくりと時間を掛けて、試行錯誤しながら作っていきます。音楽とラーメン。一つのことをとことん突き詰めたい僕の性格に合ってたのかもしれません。
やっぱり、自分は根っからの表現者なんでしょうね。音楽もラーメンも、自分だけのものを作りたいって常に燃えてますから。
--KENさんは、子飼商店街の盛り上げにも取り組んでいるんですよね
KEN/うん。やりたいことはなんでもやらせてもらってます(笑)。
僕の好きなHIPHOPのルーツの一つに、ブロック・パーティっていう文化があって。元々は黒人の文化なんですけど、一つの街区(ブロック)で音楽を通じて住民たちが盛り上がる地域のお祭りみたいなものです。
ブロック・パーティーは公園や広場で所構わず開けるめちゃくちゃいいイベントなんですよ。僕はその自由な精神を子飼商店街にもどんどん取り入れたいと思ってて。
KEN/仲間を募って描いた、商店街のシャッターアートもそうだし
KEN/近くの公園で始めたラジオ体操も、子飼商店街にブロック・パーティーを作る計画の一環だったりします(笑)。
まあ、いつもところ構わず全力でライブをぶちかましてる感覚ですね。
でもね、僕にとってのカッコいい大人ってこういうイメージなんですよ。大の大人が声を張って、何かを一生懸命作ってる。そんな光景を子どもたちの目に焼き付けられれば、そこは絶対いい街になりますから。
KEN/商店街での自分の役割って、変わらぬテンションで生々しい感動やいい意味でのスリルを生み出すことだと思ってるんです。
それこそブロック・パーティーでラッパーやDJが担ってきた役割だし、自分が生きてきたHIPHOPの精神ですからね。これからも大人げない大人として、仕掛けていきますよ。
未来は楽しいことで溢れている
--しろの瓶には、どんな目標や豊富を書いてくださったんですか
KEN/ずばり、あるものあつめておもしろく、しろって書きました。
僕は昔から「どうせやるなら皆で楽しみたい」ってタイプでね。歳とるごとに人生のボルテージを最高潮にしていきたいですよ。
だって、歳とって人生つまんないなんて最悪じゃないですか。だから僕は現状に不満を言うくらいなら自分で面白くしてやるっていつも考えてます。いつでも、根底にあるのはライブ感。どうせやるなら、ブチ上げないと!
KEN/僕にとって、未来は楽しいことで溢れてます。
これまで色んな事やってきたけど、まだまだやりたいことは目白押し。近くの小学校で地域を巻き込んだ盆踊り大会もやってみたいし、子飼商店街がルーツの水前寺清子さんをお招きして盛大なイベントもやってみたい。
そんな楽しいことを続けてるうちに、夢見るブロック・パーティーが商店街で生まれてたら、それはもう言うことなしですよね。
--KENさん、ありがとうございました!
KEN/いま子飼商店街はお年寄りから若い人たちまで、立場や年齢にかかわらずどんどん良いテンションが出来上がってきてるんで、ぜひまた気軽に遊びに来てください。
僕も最高のラーメンを用意して、楽しみに待ってます!