見出し画像

「球磨焼酎案内人」になるための養成講座に初潜入!米焼酎メーカーの社員として“絶対に落ちるわけにはいかない”資格試験に挑んできた

熊本県の人吉球磨地方で、500年以上受け継がれてきた球磨焼酎

日本に5つしかない産地呼称が認められた本格焼酎のブランドとして、現在でも27の蔵元が総勢200以上の銘柄を造り続けています。

球磨焼酎27蔵の代表銘柄

そんな長い歴史の中で積み重ねられてきた伝統を語り、その魅力を伝えていくために作られた制度が本日のテーマ「球磨焼酎案内人」です。

合格すると球磨焼酎のエキスパートとして認定されるこの資格。取得者も年々増加し、その人数は全国で2000名近くに上ります。

そして今、この案内人に挑戦するため会場へと向かっているのが、入社4年目の私・松尾と釣り部でもおなじみ中途入社1年目の髙森君。

普段から私は広報、髙森君は営業の立場で球磨焼酎や自社商品の情報を発信していますが、二人とも資格はまだ持っていません。

手前/松尾 奥/髙森

挑戦するからには日頃身につけた知識を活かして絶対に合格を掴み取りたいと意気込む一方で、「球磨焼酎メーカーの社員なら受かって当然だよね?」という周囲からのプレッシャーも半端ない今回の受験。

心なしか、その背中にも緊張の色が滲み始めてきました。

ということで、このたび球磨焼酎案内人養成講座の現場に初潜入!

焼酎メーカーの社員が本気で案内人を目指しながら、知られざるイベントの内容をしっかりと楽しくレポートしていきます。

「球磨焼酎案内人」とは?

テキストとリーフレット

今回、案内人養成講座の会場となったのは「スタートアップハブくまもと」のオフィスにあるセミナールーム。

地元の肥後銀行が運営する創業・開業支援プラットフォームの拠点です。

我々が到着した時には、着々と会場の設営が進められていました。

そして講座前に案内人制度について教えていただいたのが、このイベントを主催する球磨焼酎酒造組合の深野  誠一 理事長です。

深野酒造㈱代表取締役 
深野  誠一さん

--深野理事長、いよいよ緊張がピークに達してきました…。

深野/リラックスすれば大丈夫ですよ、まずは楽しみましょう(笑)。

そもそも「球磨焼酎案内人」は酒造組合の青年部が立ち上げた制度で、球磨焼酎文化を日本全国へと広げていくためにその歴史や造りについて楽しく学んでいただくことを一番大切にしているんです。

そのスタイルも多彩で、球磨焼酎の応援店に伺って美味しいお酒と料理を味わいながら開催することもあるんですよ。

深野/本日のイベントには「スタハブくまもと」の開業サポートを受ける飲食店オーナーさんも参加されますが、自分のお店で球磨焼酎を提供する際にしっかりとその魅力を伝えたいという方が結構多いんです。

最近では個別での合宿開催や熊本県とタッグを組んだ新しい試みなど、取り組みの幅も少しずつ広がってきました。

そうしたイベントによって異なるニーズに応えるために、その時々でベストな構成を毎回チームで話し合って組み立てていきます。

深野/やはり人間には何かを語りたいという欲求があるみたいで、球磨焼酎について詳しくなるとそれを誰かに話したくなるんですよ。

案内人の方が球磨焼酎の良さを語ることで、自分自身も改めてその魅力に気付いていく。そうした良い循環を作ることこそ、この制度を運用することの意味じゃないですかね。

深野/ちなみに今日の案内人養成講座は球磨焼酎についての講義、20問からなる筆記試験、そしてテイスティングの順番で行われます。

普段飲み比べる機会が少ない27蔵の球磨焼酎をじっくりと試飲できるイベントですので、ぜひ合格を目指しながら思いっきり楽しんでみてください。

自社のお酒を飲む時とは、また違った気付きもあるはずですから。

ついに養成講座がスタート!

満員の受講者たちによって、静かに熱を帯びるイベント会場。

そんな緊張感とは裏腹に和やかな雰囲気の中で開会の挨拶が行われ、ついに養成講座の火蓋が切って落とされました。

スタートアップハブくまもと
ゼネラルマネージャー 西 浩さん

最初のプログラムは、球磨焼酎の歴史や造りに関する座学の講義から。

まずは深野理事長が登場して、その柔らかな語り口で専門用語や焼酎の製法をわかりやすく解説していきます。

ちなみに受講者が手にしているのはパンフレットのような薄い冊子ではなく、100ページ近くもある重厚なテキスト。

テンポよく進行する講義と膨大な情報量に一瞬たりとも目を離せません。

その後も講師陣がバトンタッチしながら、球磨焼酎を育んできた風土からオススメの楽しみ方まで様々なテーマが続いていきます。

有限会社林酒造場 杜氏
林 泰広さん

しかし、講義を受けながら私の頭には既にこんな考えが浮かんでいました。

「うーん、これはかなりヤバいかも…。」

もっとライトな内容かと思いきや、さすがは球磨焼酎案内人講座。その講義の本気度に、私の表情からも一切の余裕が消えています。

完全に素

万が一、試験に落ちたらどうしよう…。

弱気の虫が顔を出し始めたその瞬間、会場に突然こんな声が響き渡ります。

「ここはメモしてくださいね!試験に出るかも知れません」

そうなんです。

初めて知ったのですが、この講義では所々優しい「天の声」さんが出題される可能性が高いワードを横から教えてくれるんですね。

この機を逃すまいと、一斉にテキストへと書き写していく受講者たち。誰もが一心不乱にページをめくります。

こうして四苦八苦しながらも、ようやく2時間近くに及んだ講義が終了。

終わってホッとしたのも束の間で、講座直後のまだ知識が残っているうちに筆記テスト(30分・20問)がすぐさま始まります。

テスト用紙を見ると講義中に教えていたたいた用語が多く出題されていますが、いざ回答を進めていくとそれでも結構難しい…。

所々、鉛筆を持つ手が止まるシーンも。

受講生が苦悶する中、本日最後となる衝撃の神の声が舞い降りてきます。

「解らない部分は、テキストを見ていただいて大丈夫です!」

な、なんですと!?

一瞬驚いたものの、これ以上無い程ありがたい神様からのプレゼント。

自信がない箇所は何度もテキストを確認をしながら、なんとか二人とも全ての回答欄を埋めることが出来ました。

ただし、まだ案内人養成講座は終わりではありません。

最後はみんなお待ちかねのテイスティングへと移っていきます!(ちなみにテイスティングが無い場合もあり、本数も参加人数によって変わるそうです)

ようこそ、球磨焼酎の世界へ

試飲パートはこれまでと打って変わって、とても賑やかな雰囲気に。

球磨焼酎に合うおつまみも用意されてペアリングの準備も万端です。

通常はおつまみはありませんが、
今回はスタハブくまもと様からのご厚意でご提供いただきました!

さて、早速試飲に移っていきたいところですが、まずは簡単に球磨焼酎の4つのジャンルから紹介していきましょう。

一つ目は、香りが華やかで味わいがシンプルなフレーバータイプ。今流行りのカテゴリーで白岳KAORUや銀しろはここに入ります。

次はすっきりとした飲み口が特徴のライトタイプ。減圧蒸留法で造られた飲みやすい銘柄が多く、白岳しろもここの分類です。

3つ目はリッチタイプ。常圧蒸留だからこそ表現できる飲みごたえが特徴で、昔ながらの球磨焼酎に近いカテゴリー。

最後はキャラクタータイプ。樽で熟成をさせた香り高く濃厚な味わいが特徴で、当社は金しろがこの仲間になります。

そうしている間に、会場では受講者の皆さんさんたちが真剣にテイスティングを始められていました。

私もせっかくなので、深野理事長の蔵で造る「リッチタイプ(常圧蒸留)×20年古酒」というレアな一杯を試飲することに。

深野酒造「深野」(2003年製)

常圧蒸留ならではの濃厚で深い味わいと古酒が織りなす滑らかな舌触りのバランスが圧倒的で、飲んだ瞬間にその完成度の高さが全身に伝わります。

当社には常圧蒸留の米焼酎は無いので、これまで知らなかった球磨焼酎の魅力に触れることが出来たいい経験となりました。

その後も高森君とご機嫌に試飲を重ねて…

自社のお酒だけでは掴み切れていなかった球磨焼酎という文化の深さや幅広さに自分たちの舌で触れ続けていきます。

ただ、なにより感じたのはやっぱり「お酒は楽しい」ということ。

試験中はあんなに真剣だった受講者もお酒が入った途端に壁が無くなり、いつの間にか試飲を忘れてただただ楽しい会話を繰り広げていました。

楽しく学んで飲んで、球磨焼酎を丸ごと味わい尽くした案内人養成講座。

試験にも一生懸命取り組んだので、後は運を天に任せて合否連絡を待つことにします!

運命を分ける合否発表!

あの楽しかった案内人養成講座からちょうど二週間後。ついに合否の結果が届きました。

恐る恐る封筒にハサミを入れていきます…。

中に入っていた一枚の用紙を覗いてみると…



そこには…



見事、合格の二文字が!!!

落ちてたら二度とnote書けないだろうというくらい追い込まれていたので、これは本当に嬉しかった!

更に封筒の中には認定書認定カード

そしてとても可愛いくまモン×球磨焼酎ピンバッチも同封されていました!この2つを見てようやく合格の実感が湧いてきましたね。
※ちなみに髙森君も無事合格しました!

ということで、今回無事「球磨焼酎案内人」の資格を取得出来ました!学んだ内容は今後のnoteにも活かしていきたいと思います。

また養成講座については球磨焼酎酒造組合の公式HPFacebookで日程などを確認できますのでぜひチェックしてみてくださいね。

みなさまの挑戦をお待ちしています!