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お酒は紙パック派?それともボトル派?同じ商品でも容器やサイズの違いでマーケティングがどんな風に変化するのかを書いてみた

お酒を飲む時は紙パック派ですか、それともボトル(瓶)派ですか?

私の場合、若い頃はよくボトルのお酒を買っていましたが、年齢を重ねるごとに紙パックでの晩酌が圧倒的に多くなってきました。

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こんな風に飲む人や販売地域によって手に取られる商品が違ってくるのも、お酒をマーケティングする上での面白いポイント。

また容器だけでなく、アルコール度数・サイズ・外箱の違い一つで、同じお酒でも飲まれるシーンが明確に変わってくるんです。

これまで私たちはそんなお客様からの期待に応えるべく、時間を掛けて自社の商品ラインナップを拡大してきました。

普段買い物をする時には意識しなくても、一つひとつのアイテムには私たち造り手の明確な意図が込められているんですよね。

今回は白岳、白岳しろ、白岳KAORUという当社のアイテムを比較しながら、容器・アルコール度数・サイズによって変化する飲用シーンやその背後にあるこだわりをお話していきます。

比較① 紙パックorボトル(瓶)

さて話題は冒頭に戻りますが、お酒を飲む時に紙パックとボトルのどちらを選ぶかというポイントからスタートしてみましょう。

まず2つの容器には、大まかにこんな違いがあるんです。

比較的重量が軽くて処分しやすい紙パック製品と、重くて割れやすいもののオシャレな印象のあるボトル(瓶)製品。

こうした特性から紙パックは主に家庭の食卓で、ボトルは飲食店やお土産店などでよく取り扱われる傾向があります。

白岳伝承蔵

だからこそ私たちが商品を企画をする時も、ターゲットとする飲用シーンに合った容器を採用することが大事になってくるんです。

例えば、最も歴史が古い「白岳」が登場した時代はどのメーカーも瓶製品がメインでしたが、1990年にパック製品を新発売したことで家庭用の売上が一気に高まって今では当社の主力アイテムとなっています。

昔の白岳パック

それとは対照的に、私たちのメインブランド白岳しろには発売から40年以上が経った現在でも紙パックのラインナップが無いんです。

白岳しろには、開発当時から「ホテルやBARで飲まれるハイブランドな焼酎を目指す」という明確なコンセプトがあったので、家庭的なイメージのある紙パック商品をこれまであえて採用してこなかったんですね。

そして、白岳シリーズで最も新しい「白岳KAORU」は環境への配慮や家庭での焼酎消費をアップを見据えて、2019年の新発売された時は紙パック製品のみが登場しました。

その後全国で人気が急上昇した結果、飲食店やお土産店からも「白岳KAORUを取り扱いたい!」という要望が大きくなり、2021年に星空ボトルが改めてリリースされるという業界でも非常に珍しいケースとなったのです。

このように自分たちが定めた商品コンセプトはもちろん、お客様からの声でラインナップが独自の進化を遂げていくのも嬉しいポイントで、今では星空ボトルがイベントの顔としても活躍しています。


ちなみに紙パックが家庭で人気がある理由の一つに、処分する時に折り畳めるのでご近所の方に飲んでる量が知られにくいという点があります。

この話を聞くと味わいやデザインはもちろん、商品設計をする上では消費者のインサイトを深く知ることが大事なんだといつも痛感するんですよね。

そして、下記が当社ブランドごとの容器ラインナップになります。

容器だけでも各商品のこだわりが見えてきた中で、次の章ではアルコール度数の違いとその飲用シーンに注目していきましょう。

比較② アルコール度数

容器に続いて、アルコール度数も飲む人の好みや地域によって選ばれる商品が大きく変わってくる要素の一つです。

一般的に流通している本格焼酎は25度が主流ですが、ここではその他度数の特徴について簡単に触れていきます。

20度

白岳20度

昔から宮崎県や大分県では20度の焼酎を楽しむ文化があり、熊本の一部地域でも飲まれるなど地域によって高い人気を誇るのが20度です。

割って飲むよりストレートやロックで焼酎本来の味わいをそのまま楽しむ飲み方に適しており、アルコール度数と比例して高くなる酒税も抑えられているため、比較的安価なのも根強い人気の秘密なんですね。

当社も熊本だけでなく全国に米焼酎文化を広めるために、通常の25度とはパッケージカラーが異なる「白岳20度」をラインナップに据えて、地域ごとの好みやニーズに対応してきました。

たった5度の違いで風味や味わいも丸っ切り変わってきますので、もし見つけた場合はぜひ一度トライしてみてください!

30度以上

KOMORIUTA(30度)

30度を超える原酒に近いタイプの焼酎は、しっかりとした呑み口で根っからの焼酎ファンからの人気が高い度数だと言われています。

既に廃盤となっていますが、茶瓶がベースの白岳には珍しいクリアボトルの「白岳37度」など過去には焼酎通をターゲットにした商品もありました。

白岳37度(廃盤)

また、以前noteで紹介した「白岳35度」は梅酒用の焼酎として梅仕事の時期にはオンラインショップで毎年注文が増えるアイテム。

飲む以外の用途で使われるのも、高度数商品の面白いポイントなんです。

白岳35度  1800ml

ちなみに下部の表が、当社ブランドとアルコール度数の一覧になります。

こう見ると、登場時から日本中に米焼酎を広める使命を背負ってきた白岳が幅広いアルコール度数のアイテムを展開しており、あらゆる地域や顧客に適応するためにラインナップを充実させてきたことがわかりますね。

その反面、白岳しろと白岳KAORUには25度商品しかありません。

白岳しろはその確固たるブランドイメージを守り抜くために紙パック製品を一切導入しなかったのと同様、本格焼酎の王道25度以外のアイテムを造ることなく唯一無二の存在感をアピールしてきました。

そして白岳KAORUはまだ誕生からの歴史が浅いため、現製品の魅力を広げることが最優先でまだ他の度数を出すには至っていない状況です。

ということで、ここまでは容器の材質やアルコール度数によって飲用シーンが大きく変わることを説明してまいりました。

最後は外箱やお酒のサイズなどを細かく分類していきたいと思います。

比較③ その他(外箱の有無・サイズ)

それでは外箱の有無やサイズの違いについて比較していきましょう

外箱(カートン、化粧箱)

一般的にカートンや化粧箱と呼ばれる外箱ですが、主に個人向けの贈答品や高級アイテムに付けられることの多いアクセサリーです。

当社の場合、限定品でプレミアム商品の「百」「待宵(まつよい)」

また、国内外でお土産としても人気の高い「うめぽん」「ゆずもん」といったリキュール類には漏れなく外箱が付いています。

一方、捨てる手間が掛かるため飲食店や自宅用に購入される機会は少なく、熊本での消費が多い白岳はお土産向けの「くまモンボトル」にのみ化粧箱が付くなどお酒の流通によっても外箱の有無が決まってくるんです。

逆にハイブランド焼酎として全国でも知名度が高く、県外の方々のお土産にも選ばれやすい白岳しろには複数のカートンが用意されているなど、商品の特性よっても外箱の重要性が変化してくるんですね。

ボトルが登場したばかりの白岳KAORUにはまだ専用の外箱はありませんが、全国各地で贈答品としての人気も上昇しているので、今後星空を彩った素敵なカートンの登場にぜひご期待ください。

各種サイズ

焼酎の容量といえば1800ml・900ml・720mlなどのサイズが一般的ですが、携帯性の高いミニボトルの存在も見逃せないところです。

小容量かつペット素材が主流のミニボトルは、旅行やアウトドアなどに持ち運ぶにはピッタリのサイズで、行楽の時期におすすめのアイテムとして当社noteの「鉄道酒」企画でも活用しました。

また、普段の生活の中でも「ちょっと一杯飲みたい」なんて思いついた時に気軽に買えるサイズでもあり、衝動買いやトライアルをしやすい商品としてコンビニなどを中心に流通しているアイテムでもあります。

そんな中、他社も含めてペット素材が主流となっているミニボトルですが、白岳しろだけは一貫して瓶素材を採用することで、ここでも自らのブランドイメージを一貫して守り抜こうとしてきました。

また大きなサイズに目を向けてみると「升升半升(ますますはんじょう)」というボトルは4500mlという大容量で、高さはなんと50センチ超え。

その大きさと縁起の良いネーミングから飲食店へのお祝いに用いられることが多く、サイズを活かしたアイテムとして安定的な人気を誇っています。

これまでの各要素を最終的にまとめた表がこちらになります。

日本中に米焼酎を広げる銘柄としてラインナップの拡大を続けてきた白岳、一貫した商品戦略でブランドイメージを守り続けてきた白岳しろ、そしてこれからの可能性を秘めたニューフェイスの白岳KAORU。

こうしたラインナップの違いを見るだけでも、各アイテムが担ってきたマーケティング上の役割がわかっていただけたと思います。

全ては期待を超えるために

さて、今回は容器・アルコール度数・外箱・サイズといった要素から各アイテムごとの狙いやターゲットとする飲用シーンを見てきました。

商品ラインナップ拡充は単純に売上を増やす目的だと捉えられがちですが、実は時代ごとに変化してきた「お客様の期待」に造り手たちが必死に応えようとしてきた足跡でもあるんですよね。

その一方で、当社にはどれだけ時代が変わっても「自らのスタイルはこれだ!」という姿勢を守り続けてきた白岳しろの様なお酒もあります。

そうした昔からのこだわりと消費者の変化を捉えながら常に商品の新陳代謝を繰り返してきた飽くなき姿勢こそが、創業から120年以上ファンのみなさんとの絆を生み出してきた原動力になっているのかもしれません。

そして、これからも大事にしたいのはお客様視点で柔軟に商品を変化させていきながらも、白岳らしい酒造りの在り方を常に問い続けながら理想のラインナップを揃え続けていくこと。

みなさまに美味しいお酒を届けるためにこれからも自分たちの目指す酒造りを邁進してまいりますので、今後とも応援よろしくお願いいたします!