【熊本大学×球磨焼酎】若者のお酒離れが叫ばれ続けるこの時代に全身全霊で球磨焼酎の素晴らしさを叫び続ける熊大生たちに突撃したら、そのレベルの高さに返り討ちにあってしまった話
“今の若い人たちはお酒を飲まない”
“若者のアルコール離れが深刻”
“ソーバーキュリアス(あえてお酒を飲まないライフスタイル)”
最近、新聞やテレビで頻繁に取り上げられるのが「若者のお酒離れ」。若い世代がお酒から離れていく現状は、造り手としても大きな課題です。
しかし、そうしたお酒業界全体を取り巻く逆風の中でも、熊本の伝統文化・球磨焼酎の魅力を伝えるべく日々奮闘する若者たちがいます。
熊本大学・球磨焼酎サークル「Torico(トリコ)」。
文豪・夏目漱石が教鞭を執った学校としても有名な熊本大学の学生サークルで、SNS・カクテル作り・観光・各種イベントなど若い世代特有の新しい切り口で球磨焼酎の魅力を発信している有志です。
今回はサークルのメンバー6人に、これまでの活動や若い世代としてお酒の魅力を広げる上で意識してきたことについて伺いました。
「Torico」が生まれた経緯
地域ブランド総選挙という起源
まず、球磨焼酎サークルTorico(トリコ)の発足経緯について教えてくれたのは、現代表の諏訪原 夏海(すわはら なつみ)さん。
諏訪原/ Toricoは現在サークルとして活動していますが、元々は経済産業省主催の「地域ブランド総選挙」に出場する目的で先輩4人で立ち上げた活動が起源なんです。球磨焼酎はあくまでテーマの一環だったんですよ。
その先輩たちが2020年度地域ブランド総選挙に「焼酎に夢中」というチーム名で参加して、見事優秀発掘賞を獲得されました。
この結果を受けて、学生による球磨焼酎ブランド振興の取り組みが正式に授業として採用され、私たちに受け継がれていくことになったんです。
「くまくま」(熊本大学×球磨焼酎)の誕生
次に、SNS運用を担当する貞明 春歌(さだみょう はるか)さんが2021年4月にスタートした授業としての取り組みを教えてくれた。
貞明/昨年4月にスタートした授業では、熊本大学と球磨焼酎を組み合わせた「くまくま」という名称で活動しました。その際に、学生で分担した3つの役割がこちらです。
授業では各担当がそれぞれのテーマで球磨焼酎を掘り下げていくんですが、未成年の学生にはお酒と直接関わらない観光部門や動画作成を担当してもらうなど運営面も工夫しながら、1年間球磨焼酎と向き合ってきました。
貞明/開講当初は学年の違いやコロナ禍の影響もあり、コミュニケーションが円滑に進まない場面もありました。
それでも、月1回の活動報告会をベースに各担当の垣根を超えて協力してきたことで、今では何でも言い合える良い関係性が出来てきたと思います。
サークル化、そして未来へのステップ
最後にサークルとしての現状と今後の目標について教えてくれたのが、渉外や営業活動など主に外部との折衝を担当する東 颯大(ひがし そうた)さん。
東/1年間の授業が終わって、くまくまとしての活動は一旦終了しました。ただ、このメンバーを中心に「せっかくだから続けていきたいよね」って話になり、今年度からはサークルとして活動を継続しています。
サークルなので活動予算は自分たちで確保していかなければいけませんが、営業班を中心にToricoの理念に賛同いただけるスポンサー様にご協賛いただいたり、イベントの売上で運営費を賄っています。
東/実は、Toricoとして起業するプランも進行中なんです。
今はまだ準備段階ですが、ビジネスとして球磨焼酎を盛り上げていく未来をToricoのみんなで追いかけているんですよ。
「くまくま」が歩いてきた足跡
広報の起点はInstagram
球磨焼酎×熊大生 @くまくまInstagram(kumashochu1001)
-くまくまのInstagramは充実していますね。300件近い投稿数は圧巻でした
貞明/ありがとうございます。SNS班は編集と投稿が中心で、コンテンツそのものはカクテルや観光など他部門の活動も多くアップしているんです。
昨年から本格的に始まったSNS班の活動ですが、最近は動画担当の後輩たちもメキメキ成長していてとても頼もしいですね。
-動画担当の3年生たちがSNSを支えていると言っても過言ではない?
財本/いえいえ…とんでもないです!私たちはサポートとして動画を撮影してきましたが、最初は慣れないことばかりで本当に先輩たちの助けを借りっぱなしでした。
今吉/昨年はサークル内の動画を中心に撮影をしてきました。今年から本格的に外部の撮影もデビューしていく予定ですが、正直まだちょっと不安な面もありますね。
貞明/いやいや。財本さんは副会長としてもしっかりしてきてますし、今吉さんにもかなり精力的に動いてもらってます。この2人の活躍が、今後の広報班を担っているといってもいいと思いますよ!
人吉球磨全体をPRする観光部門
-くまくまは球磨焼酎だけでなく、人吉球磨の観光情報まで網羅しているとか
豊田/はい。くまくまではお酒を好きな人だけでなく、お酒があまり得意ではない人に対しても球磨焼酎や人吉球磨の魅力を知って貰うことを目指していたので、観光面にもかなり力を入れて活動しました。
豊田/2021年はコロナ影響で人吉球磨での取材が思うように出来なかった1年でしたが、そんな中でも観光スポットの記事などは少しずつ編纂していて、昨年後半からようやく本格的な取材に伺えるようになったんです。
豊田/そして、今年3月にくまくまがオススメする人吉球磨のスポットをまとめた観光パンフレットが完成しました。観光部門の取り組みをしっかりと見える形にすることが出来て、個人的にはとても嬉しく感じてますね。
観光部門の力作なので、ぜひ一度ダウンロードして見て頂きたいです。
パンフレットのダウンロードはこちらから
ガラ・チョクデザインコンペティション2021
-販促部門の活動は多岐に渡ると伺いました。活動内容について教えて下さい
諏訪原/昨年度の販促部門は部門のみんなで話し合い様々な企画を実施しましたが.、今回はその中から代表的な取り組みを2つご紹介します。まず1つ目は「ガラ・チョクデザインコンペティション2021」です。
諏訪原/球磨焼酎の伝統的な酒器「ガラ・チョク」を自由にデザインするコンテストで、昨年の10月から11月にかけて球磨焼酎酒造組合さんとコラボする形で一般公募をしました。
主催者だった自分たちも実際にデザインして、応募してみたんですよ。
諏訪原/一次選考の通過作品は44点で、こちらの作品が最優秀賞です。
準備や選考は大変でしたけど、ガラ・チョクという伝統酒器を全国にアピール出来た良い機会を作れることが出来たと思っています。
球磨焼酎カクテル作りに掛けた思い
東/販促部門の1番大きな実績は「球磨焼酎カクテル」作りだと思っています。1年を通じてバーテンダーさんや農家さんとも協力しながら、球磨焼酎全27蔵のお酒を使ったカクテルを1つ1つ考案していきました。
東/カクテルを作る上で、大事にしていたことが2つあります。
1つ目は若い人が本気で飲みたいと思うカクテルを作ることです。悔しいんですけど、大学の友人と話していても「球磨焼酎は飲まない」「そもそも球磨焼酎って何?」という反応が結構多いんですよね。
だから、そういう人たちでもつい手に取ってしまうような見た目にもオシャレで飲みやすいカクテルを作りたいと思って日夜研究を重ねました。
東/もう1つは、球磨焼酎の輪郭や持ち味を残しながらカクテルを作るということです。
私たちの目的はカクテル作りそのものではなく、あくまで球磨焼酎の魅力を発信することなので、各蔵の焼酎の味がしっかりと感じられるようなカクテルを作りを意識しました。
今後アレンジする中でも、球磨焼酎への敬意は常に持ち続けたいですね。
諏訪原/先輩たちから続いてきた球磨焼酎カクテル作りですが、私達の代で冊子としてまとめる事が出来ました。
球磨焼酎全27蔵の焼酎を使ったカクテルレシピを中心に、くまくまの活動を通じて私たちが出会った素敵な人々やおすすめの観光スポット、そして人吉球磨の文化をこの1冊に全てを詰め込んでいます。
編集には時間がかかりましたが、見ごたえある1冊になったという自信もあるので、こちらもぜひダウンロードしてください!
球磨焼酎カクテル冊子のダウンロードはこちらから
変わる世代と伝えたい思い
-インタビューの最後には必ず今後への決意や思いをしろの瓶に書いてもらっています。4年生のみなさんが後輩に伝えたい事はありますか?
諏訪原/うーん。今の3年生達も本当にしっかりしてきているので、自分達なりに楽しくサークルを運営して欲しいなとは思いますね。悔いのないようにやり切ってほしいです。
東/そうですね。やっぱり楽しいことが一番大事だと思います。色々大変なこともありましたけど、振り返ると全部楽しい思い出になってますから笑。
諏訪原/あっ!後輩たちへのメッセージ、いま思いつきました!
諏訪原/どうですか?「てか、しろ。」の部分に脅しが効いてていい感じだと思うんですけど!ねえ、みんなどう?
財本/次期会長としては、プレッシャー半端ないですね…笑。
今吉/先輩たちがいなくなると思うと今からやっぱり不安な部分は残りますが…、なんとか頑張りたいと思います。
貞明/みんななら出来ると信じてるからこそのエールだよ、頑張ってね!
-Toricoのみなさん、今回は本当にありがとうございました。
一同/こちらこそありがとうございました!
貞明/Toricoのこれまでを振り返ることが出来たいい機会になりました。今度は白岳さんの工場にも潜入させてくださいね。
-ぜひ皆さんでお越しください。お待ちしています!