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奥球磨のソウルフード「骨かじり」作りに初挑戦!地元インフルエンサーと3時間以上イノシシ肉を煮込んで、年末年始に備えてみた

突然の告白ですが、私は一年の中でも年末年始が大好きです。

忘年会・お正月・新年会と、お酒を飲む機会が増えるこの季節。白岳しろの出荷がピークを迎えるにつれて、今年はどんな飲み会を企画しようかと考えるだけで思わず小躍りしたくなるんですよね。

イメージです

そんな中、今年も何か年末年始の目玉になるものが無いかとSNS上で探していると、偶然にもこんな投稿を発見したのでした。

私たちの創業の地でもある、奥球磨地域の郷土料理「骨かじり」。

昔から地元行事などで振る舞われてきた伝統食で、豪快にかぶりついた骨つき肉を球磨焼酎でグッと流し込む宴会スタイルは、この地を代表する食文化として代々受け継がれてきました。

そして、この骨かじり動画を投稿しているアカウントを調査すると、奥球磨振興局という地域のインフルエンサーへと辿り着いたのです。

奥球磨振興局Instagram

令和の年末年始に、歴史ある奥球磨の食文化を堪能してみたい…

そう考えた私は、さっそく奥球磨振興局さんへ「骨かじりを一緒に作ってくれませんか!?」というコラボのオファーを敢行することに。

その結果、顔は出さないという条件で快くOKをいただいたのでした!

奥球磨振興局さん(右)

ということで、今年最後のnoteを飾るのは球磨焼酎と一緒に食べ続けられてきた奥球磨地域のソウルフード「骨かじり」。

今回は白岳しろが最も飲まれる年末年始のタイミングに備えて、地元最強の宴会料理をしっかりマスターしていきたいと思います!

いざ「骨かじり」の旅へ

こうして早朝から集まったのが、奥球磨振興局さんのご実家・熊本県奥球磨の某所に存在している秘密のベースキャンプ。

今回はこの場所に備え付けられた伝統的な「くど」(かまど)で火を起こしながら、じっくりと骨かじりを炊き上げていくことにしました。

気合十分

--いよいよですね…。何から始めていきましょうか!?

奥球磨/まずは、火を起こす所からスタートしましょう。

今日は普段から撮影パートナーを担当してくれている私の父も来てますので、そのサポートを受けながら火を付けてみてください。

奥球磨/初めにくどの中に薪(まき)を入れ込んでから、着火剤として枯れた杉の葉を被せて、その上に小枝を折って乗せていきます。

それでは、さっそくバーナーで着火してみましょうか。

奥球磨/うん、かなりいい感じで火が付いてきましたね。

奥球磨/しっかりと火が起こったら、火の勢いが途切れないようにタイミングを見て薪を補充していきます。

真剣

奥球磨/はい、これで火起こしは大体OKです。

無事にセッティングも終わったので、次はいよいよ骨かじりを炊き上げる鍋の準備に取り掛かっていきますよ。

奥球磨/骨かじりを作る際は沸騰したお湯からではなく、水の状態から煮込んでいくのがポイントです。

鍋にたっぷりと水を張ったら、先程火を起こした「くど」へと乗せます。

奥球磨/普段は手に入りやすい豚肉で代用することが多いんですけど、イノシシ肉で作るのが奥球磨の伝統的な骨かじりレシピです。

今日のお肉はご準備いただけると伺ってましたが、いかがでしたか…?

イノシシ肉

--実は、以前noteでも紹介したジビエで有名な村上精肉店さんにお願いして、とびきりのイノシシ肉をご用意いただいたんですよ!

奥球磨/おお、すごく肉付きの良い豪華なイノシシ肉ですね(笑)。

骨かじりって本来はもっと骨ばった肉で作るんですけど、これは凄く美味しく仕上がるような予感がしてきました。

奥球磨/沸騰する前の鍋に、イノシシ肉を丁寧に落としてください。

家庭によっては柔らかくなるまでお肉を煮込んで、取り出す直前に塩を入れるレシピもあるんですけど、うちではお肉が硬くなるのを少しでも防ぐために水だけで煮込んで食べる時に塩をつけるようにしてます。

奥球磨/ここからは肉がホロホロになるまで、ひたすら煮込んでいきます。

こうして燃え上がる炎をじっくり見つめているうちに、少しずつ心が落ち着ついてくるのも骨かじり作りの醍醐味なんですよね。

奥球磨/火の勢いも落ち着いてきたので、せっかくだからこの時間を使って「むかご」を拾い集めてみましょうか。

奥球磨/昔からこの辺りは自然薯のつるから落ちたむかごがよく穫れて、この季節になると家族みんなで拾い集めていました。

むかご

奥球磨/これを銀杏みたいに乾煎りして、その上からパラッと塩を振りかけると最高の焼酎のおつまみになってくれるんですよ。

お父様と

奥球磨/今日は七輪も準備したので、骨かじりが完成したら、むかごも一緒に煎ってこの地域が誇る味覚をぜひ堪能してください。

ここからさらに3時間ほど煮込んでいきます。引き続き火の番をしながら、少し休憩していきましょうか。

奥球磨のインフルエンサーとして

--奥球磨振興局さんは、どうして地域の情報発信を始められたんですか?

奥球磨/ある日ふらっと実家に立ち寄った時、自分が生まれた奥球磨の美しさに強く心を動かされたのが発信を始めたきっかけでした。

昔から見続けてきた風景のはずなんですけどね。地元を離れてみると、それまで気付けていなかった土地の魅力が急に浮かび上がってきたんですよ。

奥球磨/それから本格的にSNSの発信をスタートして、自分が素敵だと感じた奥球磨の原風景やマニアックな文化を紹介することにしたんです。

私の祖父がバリバリの球磨弁を話す動画や地元のマニアックなクイズとか、正直需要があるか全くわからない状態で投稿してみたんですけど、これが意外にも多くの人からリアクションがあったりして(笑)。

奥球磨/新型コロナの時期だったので、県外にいる奥球磨出身のフォロワーさんから“懐かしい”とか“帰りたい”なんてコメントをいただくことも増えて、投稿を起点とした繋がりが少しずつ生まれてきたのもこの頃です。

奥球磨/あとは地域の紹介だけにとどまらず、Instagramで「奥球磨川柳コンテスト」という大会を開催して、奥球磨をテーマにした川柳を一般の方から募集する企画にもチャレンジしてみたんですよ。

奥球磨/コンテストには力作が集まりましたし、優秀作品はオリジナルポストカードにして地元のお店や東京のアンテナショップに置いてもらったりと、奥球磨のPRに少しでも貢献できればと思って取り組みました。

ポストカード

奥球磨/私も含めてなんですけど、奥球磨に昔から住んでいる人ほど自分たちの土地の良さに中々気付きにくい部分があると思うんです。実際にSNSで「いいね」を押してくれるのも、地域外の方が多いですし。

奥球磨/だからこそ、奥球磨振興局はこれからも地域にとっての「当たり前」に注目しながら、その素晴らしさを地元の人が再発見できるようなチャンネルへと成長していきたいという想いがあるんです。

奥球磨/今も昔も奥球磨では「都会に出たい!」という若者が多いですけど、このアカウントを見て地元に残っても良いなっていう人が少しでも増えてくれたらそれが私にとっては一番嬉しいですから。

あっ!話している間に、お鍋にアクが浮かんできたので取りましょう。

奥球磨/うん、見た感じお肉も大分柔らかくなってきたみたいですね。さあ、ここから一気にラストスパートへと移っていきますよ。

まずはお肉を煮込んでいる間に、収穫したむかごを乾煎りしていきます。

奥球磨/いい感じに焦げ目が付いてきました。これ絶対美味しいやつですね。

奥球磨/骨かじりも3時間以上じっくり煮込んでホロホロになってきたので、いよいよお肉を鍋の中から取り出していきます。

奥球磨/うーん、立ち込める湯気の感じがなんとも素晴らしいです。

お肉もしっかり骨から外れてますし、上出来だと思います!

奥球磨/ということで、これにて奥球磨伝統「骨かじり」の完成です。今日は早朝から本当にお疲れさまでした!

骨かじりは出来立ての温かいうちに食べるのが一番美味しいので、さっそく持ってきていただいた焼酎と食べていきましょう。

伝統の味にかぶりつけ!

ほんのり湯気が上がった骨かじりに合わせるのは、当社が造り続けてきた本格米焼酎のスタンダードナンバー「白岳(はくたけ)」。

今回はイノシシの力強い風味に負けない芳醇な旨味をもつ米焼酎の王道で、奥球磨の伝統食を味わい尽くしていきたいと思います!

白岳はどんな飲み方でも合いますが、この寒い時期に外で飲むならやっぱり体を芯から温めてくれる「お湯割り」一択ですよね。

グツグツに沸かしたお湯をグラスに入れて、その後から焼酎を注ぐと熊本が誇る冬の風物詩・白岳のお湯割りがあっという間に完成。

すっかり体も冷えてしまったので、骨をかじる前にアツアツの一杯から…

うわあぁぁぁぁ…!!!

こりゃたまらん…。お湯割りはやっぱり寒い時期の最高の贅沢です。

この一杯で、五臓六腑のメンバー全員が一斉にダンシングしました。

そして、いよいよ今回の主役「骨かじり」を実食。まずは奥球磨さんのアドバイス通り、上からパラッと塩を振りかけて…

骨かじりという名前に負けないよう、一気にかじりついていきます!

う、う、旨い!!!!!

ああ、イノシシの旨味がこれでもかと押し寄せてきます…。全く臭みも無く、跳ね返してくるようなプリプリの食感が凄すぎる。

その深い味わいが口内に残っているうちに、お湯割りを一献…

この瞬間、あまりの美味さに声も出なくなり、骨かじりと球磨焼酎で完全優勝を飾った瞬間の表情のまま固まってしまいました。

そして、最後は七輪で煎った「むかご」。

むかごを焼酎で少し湿らせてから塩を付けて食べるのが、奥球磨スタイルとのこと。

さっそく一口いただきます…。

うむ、これも最高すぎる…。

普段は中々食べられないむかごの滋味深い味わいに、思わず表情筋が緩みっぱなしになってしまいました…。いやあ、全てがお見事!

奥球磨振興局さん、このたびは本当にごちそうさまでした!

ということで、今回は奥球磨地域が誇る郷土料理「骨かじり」を作ってまいりましたが、いかがでしたか?

作るのが簡単な割に、見た目も豪快で盛り上がること間違い無しの料理なので、みなさんもぜひこの年末年始にチャレンジしてみてください。あ、その時は白岳の準備も忘れないように!

それでは、また来年noteでお会い出来るのを楽しみにしております。